ウミトロン、海上で魚の食欲を自動で解析するシステム開発 世界初

2019年8月15日 11:48

 シンガポールと日本に拠点を置くウミトロンは、機械学習によるリアルタイム魚群食欲解析システム「UMITRON FAI (Fish Appetite Index)」を開発したことを発表した。これは海上養殖に使われるシステムで、同社が既に開発しているスマート給餌機「UMITRON CELL」と連携し、海上で魚群遊泳データの自動的蓄積、リアルタイムな摂餌状況の分析、スコアに応じた給餌の制御を行うというものである。

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 水産業は世界的に見て、現在、成長産業の位置付けにある。その生産コストの大半を占めるのは、給餌のコストである。給餌コストの最適化は、水産養殖の最重要課題であるといえる。しかし、何しろ相手は水の中の生き物のことであるため、おのずからその特殊環境が多くの制約をもたらしてきた。

 通常の海上養殖では、洋上に生簀を浮かべ、そこで魚を育てる。特定の担当者が海に出て魚の様子を確認しつつ、餌やりなどについて細やかに気を配らねばならない。

 船で一つ一つの生簀を回らなければならないこの仕事は、職人芸的な世界であると同時に、天候不良などの問題が生じやすく、長時間の洋上作業は困難で、時間効率の管理が難しいという問題がある。

 そこに登場したのが今回の「UMITRON FAI」である。管理そのものは、スマートフォン上のソフトウェアから行うことができる。UMITRON FAIを活用して考案した給餌計画はすぐにUMITRON CELLの動作に反映させることができるため、洋上作業時間をほとんど無くすことができ、短時間でのトライアンドエラーが可能となる。

 また、人間がやっていては不可能な、24時間体制での魚の監視を行うことも可能である。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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