【どう見るこの相場】秋風懸念の夏相場は「究極の需要主体」の日銀・GPIF関連株へのディフェンシブ対応も
2019年8月13日 08:24
これを「政策不況」、「政局相場」といわずに何と形容したらいいのだろう。「トランプ・ミサイル」が、時も場所も相手も選ばず無差別にのべつ幕無しに発射され、経済も株価も大荒れに続き大荒れするからだ。制裁関税第4弾発動を表明した中国、大幅利下げに強力に圧力をかけるFRB(米連邦準備制度理事会)はもちろん、有志連合の結成を呼び掛けたイランへの強硬姿勢など、そのたびごとに世界経済の減速懸念を強め、またまた世界同時株安を惹起し、為替は、急速な円高・ドル安など波乱を強めている。
世界最強の権力者の自国第一主義は、「止められない、止まらない」エスカレート状態で、しかも困ったことにこのゴリ押しには「出口戦略」がうかがえない。「出口戦略」があれば、強大国同士が落としどころを探り手打ちも期待できるが、ツイートの投稿が先行する「ちゃぶ台返し」が繰り返されるばかりである。唯一、「出口戦略」らしきものがあるとしたら、来年11月の大統領選挙での再選だろうが、これを目掛けてこのまま突っ走るとしたら、なおどんな時限爆弾が待ち受けているのか不安は募る。
足元の夏相場は、この「トランプ相場」のなか折からの3月期決算会社の第1四半期業績発表で、好業績株を個人投資家が個別物色する部分的な業績相場が演じられてそれなりの賑わいをみせ下支え効果を発揮した。しかし3連休明けは、お盆休み入りとなって、市場参加者もマバラとなり、決算発表も一巡するだけに、マーケットは有力なつっかい棒を失うことになる。買い需要主体も買い材料も、不確かになり、さらに香港問題を巡る中国政府の強権姿勢の地政学リスクまで心配しなくてはならないとすれば、猛暑日が続く毎日の空模様とは裏腹に、早くも秋風が立つ「夏冷え相場」への警戒感は強まり、マーケットはよりディフェンシブ志向を強めるはずである。
そこで「究極のディフェンシブ株」として注目したいのが、好需給株である。大量な売り越しが続く外国人投資家に買い向かってきたのが、自己株式取得を積極継続している上場会社、物価上昇率2%達成までETF(上場投資信託)買いを止められない日本銀行、株式組み入れ比率をアップさせるポートフォリオの基本方針を変更した年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の3需要主体であり、いわば「究極の買い需要主体」となるこの3大仕手の買い需要が期待される銘柄である。
このうち日銀、GPIFの買い需要は、株価の下支え効果が期待される時価総額の大きい銘柄に傾斜することになる。個別銘柄物色より株価指数連動型ファンドを買うインデックス運用でこと足りることになるが、それでは市場平均を上回るパフォーマンスは期待しにくい。そのなかから個別事情に応じてより株価感応度の高い銘柄をセレクトするのも、今年の夏相場の宿題としてアプローチしてみたい。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)