百貨店販売減少続くも近畿で回復傾向 家電が5割増 訪日客シェアは上昇
2019年8月11日 23:37
各種調査の結果を見ると消費者心理は決して良好なものでは無い。しかし、5月の家計消費支出は前年比4%の増加で同月の小売販売額も1.3%増でさほど悪い数値は出てきていない。とはいうものの、このところ百貨店販売はマイナス傾向など業態によってバラツキがあるようだ。10月には消費税の増税が控えており、小売関連指標は今最も注目される指標だと言って良い。
23日、日本百貨店協会が6月分の全国百貨店売上高概況を発表した。調査の対象となったのは全国78社、215店舗である。概況によれば6月の売上高総額は4789億円、前年同月比0.9%の減少と3カ月連続でマイナスとなった。
レポートでは6月中旬以降の低温多雨や月末の台風など悪天候の影響により集客力が減少し、主力の夏物商材の売上が伸びず、各種イベントも盛り上げを欠いたことなどを要因としてあげている。購買客数は1.4%の減少となったものの購買単価は2.1%の増加となったがトータルではマイナスとなった。顧客層としては訪日客のシェアが5.9%で0.6%の増加と5カ月連続で伸びている。
都市別にみると、10都市では名古屋1.4%増、京都0.6%増、大阪2.3%増、広島0.2%増、福岡2.5%増と近畿・西日本でプラスとなったもののトータルでは0.1%と3カ月連続のマイナスとなった。10都市以外の地域では、北海道1.6増、近畿0.4%増、四国0.9%増でプラスとなったがトータルでは2.8%のマイナスで26カ月連続の減少となった。
商品別では構成比が28.7%と最も大きい衣料品が1.7%の12カ月連続の減少、寄与度もマイナス0.5と大きなものになっている。お中元に関連する商品券は構成比が2.9%と小さいものの13.8%の大幅な減少で寄与度もマイナス0.5と大きな減少要因となっている。
一方、プラスに寄与したのは構成比が7.1%の美術・宝飾・貴金属で8.9%と大きく増加、5カ月連続のプラスで寄与度はプラス0.6と最も大きなものとなった。また構成比が20%と大きい雑貨が1.7%と5カ月連続で増加、寄与度はプラス0.3と大きくなっている。最も増加率が大きかったのは家電の46.9%であるが構成比が0.3%と小さく、寄与度はプラス0.1にとどまっている。
節約志向が続いている中、高級品志向への回復の兆しはなく、また最近の不安定な天候にも左右されやすいため百貨店の苦戦はしばらく続きそうだ。(編集担当:久保田雄城)