海外で販売される新型ハイエースの秘密とその特徴
2019年8月9日 11:20
2019年2月に、世界に先駆けフィリピンで新型ハイエースが発表され、ハイエースファンに衝撃が走った。そのデザインはプラットフォームが刷新され、フロントにセミボンネットを備え持つことで衝突安全性が格段上がっている。走行性能も向上して販売が行われているが、サイズがかなり大きい。
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新型ハイエースは、全長5,268mm、全幅1,950mm、全高1,990mmのコミューターデラックスとGLグランディア、全長5,915mm、全幅1,950mm、全高2,280mmのGLグランディアツアラーの3タイプがラインナップされている。
用意されているボディカラーは「ホワイトパール」「ライトブルーメタリック」「シルバーマイカメタリック」の3色だが、コミューターデラックスのみバンパーが黒となる。乗車定員は、コミューターデラックス15人、GLグランディア12人、GLグランディアツアラーが14人となる。
エンジンは全て2,755cc4バルブDOHCディーゼルターボエンジン(1GD FTV)が搭載されているが、それぞれのグレードでチューニングが異なっている。
用意されているユニットの諸元は、コミューターデラックスとGLグランディアが最高出力176ps/3,400rpm、最大トルク420N・m/1,400rpm-2,600rpm(6MT)450N・m/1,400rpm-2,400rpm(GLグランディア6速AT)、GLグランディアツアラーが最高出力163ps/3,600rpm、最大トルク420N・m/1,400rpm-2,200rpmとなる。
意外にも、新型ハイエースで上級グレードのGLグランディアツアラーの馬力が低くなっているのに加え、最大トルクのパワーバンドも狭くなっている。
ブレーキは、フロントにベンチレーテッドディスク、リアにはドラムブレーキを採用しているが、上級グレードのGLグランディアツアラーには前後ともにベンチレーテッドディスクが採用されており、他の2グレードと差別化が図られている。
内装を見ると、運転席から助手席まで幅広のオーバーヘッドコンソールが装備され、横長の荷物も収納可能。また、センタ―コンソールは深さがあるため多くの荷物を収納できる。そしてバックミラーは、電子インナーミラーを採用しているため、後方の確認もしやすい。
便利機能としては、乗員スペースにUSBジャックが備え付けられており、乗客として乗った人たちもスマホなどの充電が可能となっている。当然フロントにもUSBジャックが付いている。
またステップには滑り止めが施されているのと、ドアにはパッセンジャーグリップがあるので乗り降りも安心。そして、乗車してからもシート肩にグリップが付いており、足腰が弱い人の車内移動も楽にできるようになっている。
このように新型ハイエースは、乗客を乗せて快適に移動させるミニバスのような存在となっているのが特徴である。フィリピンでは、生活の中において大人数で移動する機会が多いことと、小学校から車で送迎をするサービスが主流なことから、大型のコミューターの需要があるのだろう。
この新型ハイエースを、日本で仮に導入するとしても、コミュニティーバスやホテル・旅館などの送迎用としては需要が見込めるだろうが、一般的にこれだけの大きな車を購入したい人は少ないだろう。
日本国内で販売されているハイエースで最も近いのが、全長5,380mm、全幅1,880mm、全高2,285mmの大きさを誇る14人乗りのハイエースコミューターとなる。主にバス会社やタクシー会社、そしてホテルや旅館などの送迎に使われている中型免許以上で運転できるハイエースだ。
トヨタフィリピンでは、新型ハイエースを「可能性の再形成」としており、「旅行を快適にする意味をもう一度考える」をスローガンとしていることから、ハイエースの派生モデルと捉えることができる。そしてフィリピンでも日本で現行販売されているハイエースが並行して新車販売が行われていることからも、ハイエースの基本モデルは存続したままだ。
フィリピンで新型ハイエースが登場しても、なお旧モデルのハイエースの販売を続けていることを考えれば、本命のハイエースはこれからの登場となるだろう。(記事:小泉嘉史・記事一覧を見る)