将来の自動車はどうなる? 生き残るのは何か
2019年8月8日 17:50
将来生き残る自動車は、従来からのガソリン車やディーゼル車といった「内燃機関」を動力源にした車と、燃料電池車(FCV)の様な「未来型」の電気自動車(EV)になるだろう。
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電気自動車(EV)は、テスラや日産リーフの様な、車載電池でモーターを駆動するだけの単なる『電気自動車』では無く、BMWi3の様な『レンジエクステンダー』か、トヨタプリウスPHVに代表される『プラグインハイブリッド』か、日産ノートe-POWERの様な『シリーズHV』だろう。
■なぜ電気自動車にシフト?
EVに関心が集まっているが、これは内燃機関の車両が主流であり続ける限り、未来永劫自動車先進国に追いつく事が不可能と認識した中国が、部品点数も少なく、裾野が広い部品メーカー群が不要だろうと考えて、「電気自動車(EV)」という「新しい土俵」で戦うため、強権発動して中国国内で推進し始めたのが発端である。
現在、大きな市場である中国の意向に沿う形で、EVに関心が集まっているが、車載電池に革命的な進歩が無い限り内燃機関の車に取って代わる事は難しい。
「一充電走行距離」が1000kmを突破する位にでもならない限り、都市部を中心とした近距離移動手段でしか無い。
■燃料電池車(FCV)の先駆者MIRAI
燃料電池車(Fuel Cell Electric Vehicle)のトヨタ・MIRAIは2014年発売された。
累計生産台数は2019年6月に1万台を突破したが、水素インフラが整備されるまではまだまだ時間を要するし、先駆者としての苦難の道程は続く。
2015年1月5日、トヨタ自動車は燃料電池車(FCV)の普及を後押しするために、単独で保有する燃料電池関連の全特許5680件を無償で提供すると発表した。これは広く仲間を募って、普及に努める姿勢の表れだ。
■燃料電池車(FCV)のしくみ
水素(H)と酸素(O2)を化学反応(H+O2=H2O)させて発電し、モーターで動くFCVは、水(H2O)を排出するだけで、走行時に地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を排出しない。
学校で習った様に、水槽に電極を浸して、電気を通せば、水(H2O)が水素(H)と酸素(O2)に分解される。この逆に、水素(H)と酸素(O2)を反応させれば、水(H2O)と電気が取り出せる。
FCVは、燃料タンクに水素(H)を積んで「水の電気分解」の逆の作用で発電する、「自家発電をしながら走る電気自動車」、究極の電動モーター車両だ。
MIRAIが燃料(水素=H)補給に要する時間は3分と、ガソリン車並みで、充電に長時間を要するEVとは大違いだ。
■ボッシュも燃料電池部品に注力
ドイツの大手自動車部品メーカーボッシュは、車載燃料電池市場に参入すると、4月29日に表明した。燃料電池スタックメーカーであるスエーデンの「Powercell Sweden AB」と提携して、固体高分子形燃料電池(PME FC)を共同開発する。
ボッシュの試算では、2030年にはEVのうち最大20%がFCVになるという。
水素燃料電池車の普及には、水素供給のインフラ整備が不可欠だ。水素スタンド等のインフラ整備が整い、トヨタの特許開放、ボッシュの様な有力部品メーカーの参入によって、次第に環境整備が進めば、FCVの将来には大きな力となるだろう。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る)