中部大など、海底洞窟で新種の光るクモヒトデを発見
2019年8月6日 17:47
真っ暗闇の海底洞窟の中に暮らす、閃光を発する新種のクモヒトデが発見された。東京大学の岡西政典特任助教、中部大学の大場裕一教授、沖縄県立芸術大学の藤田喜久准教授らの共同研究グループが、インド洋北東のオーストラリア領の島クリスマス島で発見し、和名をドウクツヒカリクモヒトデと名付けた。
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クリスマス島はインドネシアの首都ジャカルタから南に500kmほどの洋上の孤島である。孤島にはよくあることだが、いくつかの固有生物種が存在し、また絶滅に瀕していたり、既に絶滅していたりする。
クモヒトデと言うのは棘皮動物の一種である。つまりナマコや、名前の通りヒトデに近い種というわけだが、ヒトデそのものとは異なる。クモヒトデは世界に2,100種、日本に340種ほどが存在するが、腕に歩帯溝を持たない点においてヒトデと区別される。また多くの種において、身体中央の「盤」と呼ばれる部分と「腕」にはっきりした区別があるという特徴を持つ。
今回の新種は、シンガポール国立大学とオーストラリアのクイーンズランド博物館が中心となって行われた動物相調査に参加していた藤田准教授が、2011年にクリスマス島北部の海底洞窟から発見したものである。発見当初は既知の種であると誤認されていたのだが、その後東京大学の岡西特任助教に鑑定が依頼され、種々の外見的特徴から新種であることが確認されたという。
ドウクツヒカリクモヒトデは、その名の通り海底洞窟の底の砂の下に暮らしているが、掘り起こすなどして刺激するとビリビリと電気が走るような緑色の閃光を発する。海底洞窟に特化した発光生物の発見例は過去に類がないという。
なぜ光るのかについては謎であるが、一つの可能性としては敵に襲われた際に他の敵をおびき寄せてその隙に逃げるためではないか、という。
研究の詳細は、シンガポールの学術誌「Raffles Bulletin of Zoology」に発表されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)