IoTを使ったメロンの水耕栽培を共同研究 越谷市と富士通

2019年7月31日 06:03

 埼玉県越谷市と富士通(東京都港区)は30日、効率よく高品質のメロンを収穫できる方法の確立を目指し、IoTを使ったメロンの水耕栽培の研究を開始すると発表した。小型センサーで収集した環境データをクラウド上に集積。栽培環境とメロンの収穫量などの関係を分析し、IoTの活用がメロン栽培に有効かどうかを検証する。

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 研究は越谷市の農業技術センターにある試験温室で実施。温室内でメロンの水耕栽培を行い、温室内の温度や湿度、照度、二酸化炭素濃度など栽培に関わる各種環境データを小型センサーで測定する。

 測定したデータはクラウド上に蓄積され、富士通が栽培環境と収穫量、品質との関係を解析する。また、収集したデータや生育状況は、離れた場所からもスマートフォンやタブレット端末で確認できる。このほか、同社はデータ収集システムのセキュリティ対策を行う。

 今回、研究に使う水耕栽培法は東京都町田市の町田商工会議所が市内外の企業10社と協力して開発した「町田式水耕栽培」。栽培槽の底の中央部分から四隅に向かって液体肥料を流すことで、根にまんべんなく栄養を行き届かせる。それによって、通常は1株から4、5個しか収穫できないメロンが、約60個実らせることが可能になった。しかも、年に3回収穫できるという。

 越谷市は平地が多く水資源も豊富なうえ、首都圏にも近いことから以前から稲作など近郊型農業が盛んな地域。しかし、最近は米の生産調整や収入が上がらないことを理由に廃業する農家も増え、農家や農地の減少が続いている。

 このため同市は、高収益が見込める作物としてメロンに着目。2018年から町田式によるメロンの水耕栽培の試験を始めた。今回の研究で栽培ノウハウを確立し、市内の農家に提供することで、メロンを市の特産物にしていくことを目標にしている。

 富士通は「水耕栽培に対しIoTがどのように活用できるかを検証し、高品質のメロンの安定的に収穫できる方法を確立することで、農業振興を支援していきたい」としている。

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