【どう見るこの相場】関東甲信地方と兜町の「梅雨明け」は、どちらが早いのだろうか?

2019年7月29日 09:21

 「梅雨明け」は、関東甲信地方と兜町とでどちらが早いのだろうか?昨年2018年は、関東甲信地方の梅雨明けは、6月29日と統計開始以来、最速となり、梅雨明け前・後の猛暑で、環境省は、毎年7月1日から31日まで行っている「熱中症予防強化月間」の期限を8月31日まで延長した。これに対して兜町の梅雨明けは、米国の中国に対する制裁関税発動や北朝鮮の地政学リスク、1ドル=110円台割れの円高・ドル安などで株価が急落するなどさんざんで、米中貿易協議の事務レベル交渉が始まるお盆明けまで待たされることになった。

 今年の梅雨明けはどうか?長雨、日照不足の続いた関東甲信地方は、平年の梅雨明けの7月21日も、曇り模様で気温も平年より低く、28日の日曜日も、台風が変わった熱帯低気圧の影響で雨となっており、気象庁からの梅雨明け宣言は、昨年より1カ月以上も遅れにているが、この熱帯低気圧の通過とともに梅雨明けが宣言される可能性大である。

 兜町の方はどうか?半導体関連株やトヨタ自動車<7203>(東1)などの時価総額の大きい主力株が、年初来高値を更新するなど一部、梅雨明けの兆しとみられていた。しかし東証第1部の売買代金は、相変わらず活況の目安とされる2兆円を下回ったままで、売り方の買い戻し主導で新規マネーの流入にまでは至っておらず「戻り梅雨」があるのではないかとの警戒感も拭えない。

 この半導体株高も、華為技術(ファーウエイ)に対する米国の禁輸措置の一部緩和や、7月30日に予定の米中貿易協議の閣僚級協議開催などへの期待感が背景となっている。またトヨタの株高も、その多くは、7月30日から31日に開催されるFRB(連邦準備制度理事会)のFOMC(公開市場委員会)での金利引き下げ幅が、当初の0.5%から0.25%に縮小するとの観測が有力になり、その分だけ円高・ドル安のペースが緩やかになったことに負っている。日米市場で発表が相次ぐ企業業績や、例年、夏枯れ相場要因となる高校野球の夏の甲子園大会も、8月6日から開催予定にあることも含めて、先行きは、なお一筋縄でいかない可能性もある。

 気象庁の3か月予報では、梅雨明けとともに猛暑到来と観測されている。週明けにも梅雨明けして「梅雨明け十日」の気象アノマリー通りに猛暑日が続くことになれば、熱中症患者の大量発症なども懸念されるところで、熱中症予防関連株へのアプローチである。昨年2018年は、5月から9月までの4カ月間の熱中症による救急搬送患者は9万5137人、うち死亡者は159人を数えただけに、猛暑到来とともに、予防関連株への注目度が高まり、個人投資家中心にニューマネーの市場流入も期待されることになる。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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