キヤノン、通期予想を下方修正 純利益37%減に 中国や欧州で景気冷え込み
2019年7月25日 07:52
■通期決算予想を下方修正したキヤノン
キヤノン(7751)は24日、2019年12月期第2四半期(4月~6月期)決算を発表。今期の通期予想を下方修正した。売上高は従来予想の3兆8,500億円(前年比2.6%減)から3兆7,450億円(同5.2%減)、営業利益は2,740億円(同20.1%減)から2,150億円(同37.3%減)、純利益は2,000億円(同20.9%減)から1,600億円(同36.7%減)と見通しを引き下げた。
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1~6月期の連結決算は、売上高が前年同期比10%減の1兆7,703億3,500万円、営業利益は同52.3%減の835 億5,300万円、純利益は同51.2%減の658億2,700万円と不調だった。通期予想に対する進捗率は、売上高が47.2%、営業利益が38.9%、純利益が41.1%と低水準な結果となった。売上高営業利益率は前年同期の9.7%から4.8%と低下し、収益性が悪化している。
■貿易摩擦による中国景気冷え込みと欧州政情不安での景気悪化が要因
下方修正の主因は、中国と欧州の景気冷え込みによる需要減少である。米中で繰り広げられている貿易摩擦より、中国国内での設備投資需要が減少。半導体製造向け露光装置を供給しているキヤノンは、メモリ市況の悪化により販売台数が前年同期の32台から21台と減少している。
またオフィス向け複合機やレーザープリンター、一眼レフカメラなど主力商品が販売計画台数に及ばず、これまでけん引してきた中国の景況悪化と欧州における政情不安による景気悪化が投資意欲を減退させている。併せてユーロ安の影響を受けたことも業績悪化を招いている。
■構造改革費用を100億円増額
キヤノンの通期予想下方修正の背景には、イメージング事業と産業機器事業における販売数量見通しの引き下げが関わっている。また、為替見通しを米ドルが約3円、ユーロが約8円円高と見積もっており、減益幅を増やしている。
併せて、通期で織り込んでいた構造改革費用を200億円から100億円増額させている。組織再編や人員の見直し、新規事業投資等を加速させ、同社が16年から20年にかけて掲げている「グローバル優良企業グループ構想 PhaseⅤ」の最終年に向けた構造改善を推し進める格好だ。
■買収した新規事業「メディカルシステム事業」が好調
悲観的な通期予想を出したキヤノンだが、明るい兆しもある。16年に東芝より買収した「東芝メディカルシステムズ」が有するメディカルシステム事業だ。2Qにおける売上高は前年同期比11.0%増の1,051億円で、対前年売上伸び率が12.2%増と好調だ。
MRIやCTスキャンシステムが米国における設備更新需要と新興国における医療インフラ整備意欲の高まりにより、好調に推移した。20年までに新規売上構成比を30%に引き上げることを掲げており、下方修正の一因である構造改革費用を来期以降に生かせるかが注目だ。(記事:拓蔵・記事一覧を見る)