初入院で痛感した病院経営・医薬・医療機器の進化
2019年7月22日 12:01
齢70歳にして、初の入院を体験した。物書き業の師匠、亀岡大郎取材班の創業者:故亀岡大郎氏の告別式の翌日の緊急入院だった。師匠の教えに「転んでもただは起きるな」があった。7月5日から10日間の入院期間中、目をさらにした。
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病院に搬送されて早々に「濡れても大丈夫だ」という、バーコードが印された腕輪をはめられた。検査・治療・投薬等々が行われるごとに施術が記憶される。病院の入院業務に関する効率化が進んでいることに、まずは感心させられた。
食事不可という状況で、「PPN」と印された輸液の点滴を受けた。看護師に「どこのメーカーの輸液ですか」と聞いた。「大塚製薬です」とのことだった。退院後調べた。大塚ホールディングス傘下の大塚製薬は、輸液のトップ企業。PPNは通常の食事が摂れない期間が1週間以内から10日位用、10日以上の場合は「TPN」という輸液がある。いずれも身体を組成する必須栄養素が含まれている。
私は「血圧薬」「糖尿病薬」を常用している。その旨は入院時に「(調剤薬局の)お薬手帳」を持参し、主治医に告げた。入院中、日に4回看護師により「血圧」「血糖値」等が測定された。初めての医療器具と出会った。
日頃は2カ月に1回の血液検査で血糖値を調べている。が、看護師が使う血糖値測定器は、実にコンパクト。指先に簡便な針をチクリと刺し血液を滲み出させて、機器の先端部分を触れる。「(血糖値は)105、まずまずですね」といった具合。加えて血液中の酸素濃度を測る機器も、4回の検査では用いられた。いずれもニプロの製品だと知った。
ニプロは「薬剤・薬液の封入用ガラス管」「医療用ガラス管」「魔法瓶用ガラス」で1947年に創業。現在の収益柱は「医療用機器」「医薬品」「医療用機器部材」。とりわけ、「人工透析治療機器」「人工心臓・心肺」「検査診断機器」の医療用機器で異彩を放っている。
ホームページの医療機器欄に、私が「へ~え」と思った血糖値測定器も記載されていた。そして「人工透析機器」を中心に海外展開を進めており、自前の人工透析センター(エクアドル)の展開を行っていることを退院後に調べて知った。
退院までの最後の難関は、内視鏡検査だった。胃カメラ検査は何度かしている。だが大腸の内視鏡検査は初めてだった。「麻酔を打ちますか」という主治医の問いかけに一瞬怯んだが「いえ、結構です」と返した。「多少の痛みなら耐えて、どんな具合に検査がなされるのかという実感を知っておきたい」と思ったからだ。
「ポリープ等の類も一切なし。正常です」と言う担当医に「オリンパス製の内視鏡ですか」と物知り顔で尋ねた。前に財経新聞でも記したことがあるが、オリンパスは循環器用内視鏡で世界7割のシェアを誇っている。が、医師の答えは「いや、ソニー製です」だった。ソニーとオリンパスはソニー・オリンパスメディカルソリューションズという合弁会社で、内視鏡手術分野の共同研究を進めていることを退院後に知った。
入院という初体験で、病院経営の合理化や医薬品・医療機器の進化を実体験した次第である。(記事:千葉明・記事一覧を見る)