失速する「恰好から入るSUV選び」、熱しやすく冷めやすい都会派SUV そして…
2019年7月15日 19:36
トヨタ製コンパクトSUV、C-HRがデビューしたのは2016年12月だった。国際的にSUV市場が活況を呈しており、英国高級車ブランドのジャガーやイタリアのマセラティなども参入して世界的ブームとなり始めた時期だ。その波に乗ってC-HRは、デビューした翌年の2017年、日本自動車販売協会連合会(自販連)の発表によると、2017年暦年における登録車(いわゆる5ナンバーの小型車と3ナンバーの普通車)の販売ランキングで、1位のトヨタ・プリウス(16万0912台)、2位の日産ノート(13万8905台)、3位のトヨタ・アクア(13万1615台)という実用的なハイブリッド車3台に次いで、トヨタC-HR(11万7299台)が4位に入った。もちろん国内SUVナンバー1の栄冠奪取である。
ところが先般、自販連発表の2019年1月?6月上半期の統計では、1位プリウス(7万0277台)、2位日産ノート(6万8543台)、3位トヨタ・アクア(6万0349台)までは2年前と順序はまったく同じですが、SUVトップには登録車14位のホンダ・ヴェゼル(3万3445台)、C-HRはようやく15位(3万2221台)に入ったという惨憺たる結果。
どうやらC-HRの販売傾向は、過去のバブル期に流行したスポーティ・スペシャリティカーにも似ていて、熱しやすく冷めやすいようなのだ。デビュー直後の初速は素晴らしかったものの、販売持続力に乏しく、2年を経て既に息切れしているようなのだ。
ところが、今年3月に発表、4月から納車が始まったRAV4の5月単月の販売台数が6817台(7位)、6月が7822台(11位)と着実に販売を伸ばしている。
C-HRはトヨタを代表するハイブリッド車であるプリウスをベースに仕立てた思い切り斬新な衣装を纏った都会派SUV。対するRAV4はクロスカントリー4WD車にも似たスタイルの本格派4WD車を志向したモデルだ。
両車のラインアップをみると、コンセプトの違いは明瞭だ。C-HRはハイブリッド車、ガソリンエンジン車ともにFFモデルがメインで、4WD車はガソリンターボ車だけ。一方、RAV4はというと、2WDモデルはハイブリッド車、ガソリン車ともに1車種だけで、主力はいずれも4WDモデルだ。
2台で大きく異なるのが、パワートレーン。RAV4に搭載するハイブリッドシステムは、新型2.5リットルエンジンを使った同社クラウンと同じハイブリッドシステムA25A-FXS型・THS IIで、システム最高出力は160kW(218ps)を発揮する。
C-HRが搭載するハイブリッドシステムは基本的にプリウスと同じ1.8リットルエンジンとモーターを組み合わせる2ZR-FXE型THS IIで、システム最高出力は90kW(122ps)を発揮する。つまり、パワーでRAV4が圧倒しているわけです。
「街乗りに4WDは要らない、格好から入るSUV選び」は失速か、果たして……。(編集担当:吉田恒)