HISからTOBを仕掛けられたユニゾは難しい経営判断に直面か?
2019年7月12日 12:03
7月10日、エイチ・アイ・エス(以下、HIS。9603:東証一部)から発行済株式数の45%を上限とする公開買付(いわゆるTOB)を突然発表されたユニゾホールディングス(3258:東証一部)の株価は、7月11日ストップ高の2890円をつけた。
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HISによる公開買付価格は3100円であり、今後ユニゾの株価は、この3100円を挟んでの攻防が続くものと予想される。HISは7月10日現在、ユニゾ株式の4.79%を保有しているが、TOBが完了すると、45%を所有する筆頭株主となる。
ユニゾからは、既に7月10日夜に、HISによるTOBの話しは突然のことであり、今後HISから提出される公開買付届出書等の内容を精査して、会社としての方針を決定するとの開示が出されている。
一方で、7月10日にHISが発表した公開買付に関する開示を読むと、ユニゾに対してこれまで数回面談の申し入れをしたとあり、資本提携や業務提携についての話し合いを求めたがユニゾからは会談を断られたという。これにより、TOBに踏み切ったという。
一連の開示情報から、両社は、今回のTOBに際して事前に協議を行っておらず、今後、公開買付期限である8月23日を念頭に、ユニゾとしては、会社として意見表明等を行う必要がある。
既にHISからは、ユニゾとの資本業務提携という結論に至った経緯や、期待される両社の事業シナジーなどについて、詳細に説明が記載されている資料が開示されている。ユニゾとしては、それらの資料を精査すると共に、HISとの協議に臨み、慎重かつ迅速な意思決定を迫られている状況である。
ユニゾは、旧興銀系の不動産会社であり、今までこのような形で市場の注目を浴びて難しい経営判断を迫られた経験は乏しいものと考えられる。しかしHISがTOBに踏み切った以上、今までのように面談を拒否することは出来ない。当然ながら、他の株主の目も現経営陣に向けられている。
果たしてユニゾの現経営陣は、TOBに対して、どのような意見を表明するのか?場合によっては敵対的TOBとなる可能性もあり、日本において、このような形の公開買付はほとんど事例がない。8月23日までの公開買付期間、ユニゾが出す開示に注目したい。