NYの視点:今週の注目:米中首脳会談、G20サミット、米6月雇用統計、ISM

2019年7月1日 07:41


*07:41JST NYの視点:今週の注目:米中首脳会談、G20サミット、米6月雇用統計、ISM
投資家や投機家の持ち高を示す週次統計で、ネット円売り持ち高は前々週からさらに減少し、前々週に続き1年ぶり低水準を更新した。円の売り持ち高が減少したことで、円の下げ余地が拡大する。

今週は先週末に大阪で開催された米中首脳会談の結果を受けた展開となる。ムニューシン米財務長官は通商協議が「90%完了」で、首脳会談では一段と進展する可能性を指摘。しかし、中国の習国家主席は他国の首相との会談で名指しこそしなかったが、「bulling tacticsいじめの戦術や保護主義に反対、また、2国間に関するいかなる外部の影響に反対する」と暗に米国を非難した。また、トランプ米大統領も中国が条件としているとされる関税の完全撤廃、追加関税発動をとどめることを約束はできないとしている。このため、合意期待が薄れつつある。市場の3分の2は今回の会合で、通商協定の合意はないが、交渉を継続することで、追加関税発動を回避することが最善のシナリオと見ている。最悪のシナリオとして、米中会談が物分かれに終わり、交渉中止、米国が追加関税発動を発表した場合は、2日から全中国製品に対する関税が発動されることになる。ネガティブサプライズとなり、株安、リスク回避の動きにつながることになるため、警戒が必要か。

今週、ウィーンで開催される石油輸出国機構(OPEC)加盟国、非加盟国との総会では果たして、減産が延長されるかどうかにも注目。イラクの石油相は決定ではないが、減産延長を支持する意向だと指摘。ロシアの方針に注目が集まる。

今後の米国の金融政策を探る上では全米の製造業活動を示すISM製造業指数やサービス業のISM非製造業活動指数に注目が集まる。米地区連銀製造業指数が軒並み鈍化しており、FRB高官は製造業の動向を綿密に監視していく方針を示している。

さらに、7月FOMCでの利下げの可能性、または利下げ幅を探る上で米6月雇用統計に注目が集まる。5月の雇用の伸びは予想外に2月に続いて、10万人割れとなった。世界経済の成長鈍化や貿易緊張の深刻化・長期化で企業は新たな雇用や設備投資を躊躇している。ただ、求人件数は依然過去最高水準で、総失業者数を上回っている。また、企業は求めている技術を持つ人材を見つけるのが非常に困難と指摘しており、労働市場のひっ迫が薄れている証拠と判断するのは時期尚早とも考えられる。

ただ、6月の雇用統計も予想を下回った場合、成長鈍化懸念が強まり、7月連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げの利下げの論拠を強めることになる。また、同会合での50ベーシスポイントの利下げの思惑も強まる可能性がある。

■今週の主な注目イベント


●米国
7月1日:6月ISM製造業:予想51.0、5月52.1、
クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長が金融政策に関して、
フィンランド中銀主催の会議で講演
2日:ウィリアムズ米NY連銀総裁が世界経済、
金融政策の見通しに関して講演、
メスター・クリーブランド連銀総裁が講演、
対中追加関税発動(会談の結果次第)
3日:6月貿易収支:予想‐534億ドル5月—508億ドル
5日:6月雇用統計:失業率:予想3.6%、5月3.6%、
非農業部門雇用者数:予想+16.5万人(+7.5万人)、
平均時給:予想前月比+0.3%(5月+0.2%)、前年比+3.2%(+3.1%)

●英国
7月3日:5月サービスPMI:予想51.0、5月51.0
●欧州
30日:EU首脳会議、欧州委員会の委員長、ECB総裁の選出
7月3日:6月域内サービスPM確定値:予想53.4(53.4)

●中国
30日:6月製造業PMI:予想49.5(5月49.5)

●2日OPEc総会(ウィーン)

●地政学的リスク
ベネズエラ
北朝鮮:
イラン
ガザ紛争
イラク、イスラム過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」
シリア
イエメン《CS》

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