火星で高濃度のメタン検出 生物の存在を立証するか NASAの探査機
2019年6月24日 19:03
メタンの検出は、惑星に生物が存在したかのカギとなる。米航空宇宙局(NASA)は24日、火星探査ローバー「キュリオシティ」が高濃度のメタンを検出したことを発表した。
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■メタン検出の意義
メタンが惑星から検出されることは重要な意味をもつ。メタンは、岩の内部での化学反応のような地質学的なプロセス以外にも、地球上では生物によって発生する。そのため、惑星に生物が存在したことの痕跡となりうる。
その一方で、メタンは大気中に存在するエアロゾルの運動や対流といった大気現象によって破壊される可能性がある。そのため惑星でのメタンの発見は、それが比較的近年に放出されたことを意味する。
火星に生物が存在できるほどのメタンが存在するかに関しては、意見が分かれる。欧州宇宙機関(ESA)と露ロスアラモスは共同で、トレース・ガス・オービター(TGO)によりメタンの探索を続けている。だが火星の大気からメタンの痕跡が発見されなかったことが、英科学誌Natureにて4月に発表されたばかりだった。
■メタンの探索も実施するキュリオシティ
NASAが運営するキュリオシティは、2012年に火星に到達後、惑星探査を続けている。今回のメタン検出は、搭載された「SAM」と呼ばれる分光器により成功した。それによると、大気の10億分の21がメタンだと判明した。
もっともキュリオシティは、メタンの入手経路を判別する装置を搭載していない。探査を続けているクレーター「ゲール」内から検出されたのか、あるいはそれ以外の場所なのかすら判別できないという。
キュリオシティは度々メタンの検出に成功している。メタンのレベルの急上昇や季節ごとのレベルの違い等が判明したが、その原因はなお不明なままだ。
研究者らは、今回の結果を分析し、メタンの観測を続けるとしている。キュリオシティと異なる結論を下したESAのTGOとも連携し、メタンの発生源特定や持続期間の調査を実施する予定である。(記事:角野未智・記事一覧を見る)