正社員の9割「少なくとも65歳まで働く」 「役職定年制」反対4割

2019年6月24日 08:27

 金融庁の金融審議会が提出した報告書の中で65歳以上の無職夫婦家計の毎月の収支差がマイナス5万円であり、95歳まで生きると想定し、その30年間でその差額の累積は2000万円になると記述されていたことが、「年金が2000万円足らない」と報道されたため、金融サービスのあり方の議論がにわかに年金問題にすり替わり報告書の不受理という事態までに至った。

 報告書の試算は単に現況の家計収支をモデルケースとしただけであるが、この騒動を契機に老後のための資産形成、生活費調達への関心が急激に高まったのは事実だ。

 ちょうど今月初旬、人材紹介業のロバート・ウォルターズ・ジャパンが20~60代の日本人会社員566名を対象に「人生100年時代の働き方」について調査し、17日にその集計結果を公表している。

 この調査の中で、「何歳まで働くつもりか」との質問に対する回答は「65歳まで」が37%と最も多く、次いで「70歳まで」の25%、これに「71歳以上」の22%と合わせると85%の者が少なくとも「65歳までは働く」と回答していることになる。

 また、定年後の「60歳以降も現在の会社で働きたいか」との問いに対しては「働きたい」が24%、「別の会社で」が48%、「起業したい」が28%という結果であった。

 年代別に見ると「60歳まで働く」が60代では6%、50代では9%と僅かであるのに対し、20代では41%にものぼり世代が若くなるにつれて早期のリタイヤを希望している。一方、60代では、「70歳まで」が53%と過半数を占め「71歳以上」は18%のみ、「70歳まで」または「それ以上」働くと答えた割合が50%を超えたのは50代と60代のみである。

 また、50代半ばで管理職を降り給与が減額される「役職定年制度」については、38%が「反対」または「どちらかといえば反対」と回答しており、50代のみで見ると46%と半数ちかくが「反対」している一方で、20代では「賛成派」が41%となっており世代間で意見が分かれている。

 ロバート・ウォルターズ・ジャパン シニアマーケティングマネジャーの柳沼茂樹氏は、これらの結果について(年金2000万円不足問題の影響もあり)「人生100年時代の職業生活で大きな節目とされる65歳を目前に控えた50代だけでなく30代、40代の中核世代にも切迫感が広がっていることにこそ注目していただきたいと考える」とコメントしている。(編集担当:久保田雄城)

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