京阪、駅・地域との観光共創により8期連続で最高営業収益更新に挑む

2019年6月23日 07:09

 京阪ホールディングスは6月14日、傘下の京阪電鉄が運転保安度の維持・向上、顧客サービスの向上を目的に、2019年度に約92億円の設備投資を計画していると発表した。

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 男山ケーブルのリニューアル工事、自動列車停止装置(ATS)の使用範囲の拡大、駅や高架橋の耐震補強工事や駅トイレのリニューアルなどを予定している。

 京阪電気鉄道は、「日本資本主義の父」と呼ばれた渋沢栄一が創立委員長になり、公利公益を大事にする「道徳経済合一説」の考え方の下、千年の王宮「京都」と商都「大阪」を結んで地域社会の発展に寄与する理念により、1906年に設立された。

 現在の営業利益構成比は、大阪・京都・滋賀の関西2府1県で展開する鉄道、バス、船舶などの運輸業が29%、京阪沿線内外でのオフィスビルの賃貸、マンション販売を行うほか都市開発事業者としてニュータウン開発や住宅開発を手がける不動産業が32%。また沿線を中心に百貨店やスーパーマーケットなどを展開する流通業で30%、沿線のレジャー施設「ひらかたパーク」や、宿泊特化型ホテルを中心とするレジャー・サービス業で9%と大きく発展してきた京阪の動きを見ていこう。

■前期(2019年3月期)実績と今期見通し

 前期営業収益は7期連続過去最高を更新する3,262億円(前年比1%増)、営業利益は前年よりも23億円増で過去最高を更新する337億円(同7%増)であった。

 営業利益増加の主な要因としては、雇用情勢改善により定期旅客数が増加し、関空リムジンバスが好調だった運輸業で20億円、事業用地売却とマンション販売が好調だった不動産業で21億円、インバウンド需要を取り込んだ流通業で1億円の増益要因だった。一方で「京都センチュリーホテル」の改装休業やホテルの新店開業費用の増加、全社調整などでレジャー・サービス業その他にて20億円の減益が発生したことによるものである。

 今期営業収益は3,267億円(同0%増)、営業利益は前期の利益率の高いマンション販売の反動減により320億円(同5%減)を見込んでいる。

■中期計画(2019年3月期~2021年3月期)による推進戦略

 2050年を見据えた経営ビジョン「美しい京阪沿線、世界とつながる京阪グループへ」の中で、「価値創造」と「グローバル展開」へ挑戦していく。この実現に向けて、中期計画で次の戦略を推進する。

●1.駅を拠点に都市再生を推進する沿線再耕

 ・大阪東西軸復権: 大阪城に近接する京橋、再生医療拠点を目指す中之島、IR計画のあるベイエリアに至る東西軸の開発と、創業の天満橋周辺の再開発および中之島線延伸を目指す。

 ・えきから始まるまちづくり: 駅が町と一体となったコミュニケーションの場となるように、枚方市駅から順次拡大。

●2.京都を中心に地域との観光共創

 ・京都駅前、四条河原町、三条の3拠点開発: ホテルを開業する京都駅前をグローバル拠点化し、商業エリア四条河原町にフラッグシップ複合施設を出店、三条は東山観光拠点として開発。

 ・京都観光のゴールデンルート確立: 洛北~東山~伏見、宇治を結んでゴールデンルートへ。

●3.暮らしの価値を高める共感コンテンツ創造

 ・複合商業施設BIOSTYLEの開業: 「食」「美容」「宿泊」の複合商業施設を四条河原町へ開業し、オーガニックハウスを中心とした製造小売業の展開拠点とする。

 駅を拠点に地域との共生、世界とのつながりを高め、社会への貢献により発展を目指す京阪ホールディングスの動きに注目したい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

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