「チャイナリスク」関連倒産、負債大規模化 規制変更で戦略に狂い
2019年6月14日 08:21
中国は日・米・ヨーロッパ先進国のようなグローバル化のプラットフォームが未整備であるため様々なカントリーリスクが指摘されてきた。中国の抱えるカントリーリスクをチャイナリスクと呼ぶが、最近ではこのチャイナリスクが高まっていることは周知のとおりだ。米中貿易戦争や香港での逃亡犯条例に関する市民デモなど中国ではビジネスに影響を与える政治的に不安定な状況が繰り返し発生している。中国に進出する企業は常にこのリスクを割り引いて中国に投資する必要がある。
10日、東京商工リサーチが今年1月から5月までの「チャイナリスク」関連の倒産について調査を行い、その結果を公表している。レポートによると、1月から5月までの累計「チャイナリスク」関連倒産は13件で前年同期と比べ43.4%の減少と件数では大幅な減少だ。これに対して負債合計では79億3300万円で18.2%の大幅な増加となっている。
プリント配線基板製造の原宿製作所が約20億円の負債を抱え3月に横浜地裁に民事再生法の適用を申請するなど、比較的大規模のチャイナリスク関連の倒産が相次いだことが負債総額を押し上げる要因となっている。「チャイナリスク」関連倒産のうち負債1億円以上は全体の61.5%を占めているが、企業倒産全体では1億円以上の倒産の構成比は26.7%とチャイナ関連と比べ大幅に低くなっており、「チャイナリスク」関連倒産は他の要因の倒産に比べ大型化していると言えるだろう。
倒産が大規模化する要因としては、中国ビジネスへの進出に当たっては現地拠点の新規開設やチャネルの開拓などのため比較的大きめの先行資金投下が必要となり、このため倒産時には負債が大型化しやすい傾向があるといえる。
ここで「チャイナリスク」として集計された基準は「 コスト高(人件費、製造コスト上昇、為替変動)」、「 品質問題(不良品、模倣品、中国産への不信)」、「労使問題」、「売掛金等回収難」、「中国景気減速」など直接的なものが中心であるが、中国企業との直接取引がないにもかかわらず中国の規制変更でビジネス戦略に狂いが生じたケースなども見られる。
リポートは「今後、こうした中国の規制変更の影響は、規模の大小を問わず、国内企業にも広がる恐れがある」と指摘している。チャイナリスク、つまり中国関連への投資の不確実性は今確実に高まっているようだ。(編集担当:久保田雄城)