飲食店の倒産・休廃業・解散件数、リーマンや東日本大震災時上回る 帝国データバンク調査
2019年6月11日 11:53
帝国データバンクの調査によると、2018年度の飲食店の倒産、休廃業・解散件数は、2000年度以降で最高となったことが分かった。あわせて今後も消費税アップなどによる業界全体の厳しさが続くことを指摘している。
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■2000年度以降で過去最高を更新
10日、帝国データバンクが2018年度の飲食店の倒産、休廃業・解散動向について発表した。2018年度(18年4月~19年3月)における飲食店の倒産・休廃業・解散の合計は1,180件で、前年度比7.1%増だった。
これは2000年度以降では最多件数となっており、東日本大震災が起きるなどしてこれまで最も多かった2011年度の1,134件や、リーマン・ショックのあった2008年度の1,113件を越えている。
■休廃業・解散は初の500件超え
1,180件のうち、飲食店の倒産は前年度比6.3%減の657件となった。2000年度以降で最も多かったのは2011年度の732件。ついで17年度(701件)、09年度(674件)となり、2000年度以降では4番目に多い件数となっている。
また休廃業・解散は同30.4%増の523件となり、こちらは2000年度以降で最も多かった2008年の488件を超えて最高件数となるとともに、初めて500件を超えている。
■負債額は322億円で前年並み
2018年度の負債総額は前年度比3.5%減の322億1,900万円だった。負債額のトップは、焼肉店「カルビ屋大福」などを運営していたSK産業の30億円。ついで開店寿司チェーン「ジャンボおしどり寿司」を運営していたエコー商事の15億3,000万円、居酒屋「海鮮市場十徳や」などを運営していたジェイアンドジェイが14億4,500万円、サンドイッチチェーン「サブウェイ」のフランチャイズ店を運営していたエージー・コーポレーションが11億8,900万円となっている。
2000年度以降で最も負債総額が多かったのは、1,600億円超だった2004年度、ついで1,200億円超だった2001年度となる。2008年度に930億5,400万円となって以降は比較的負債額は減っており、2012年度以降は200億円台の後半から300億円台に留まっている。
■業態別最多は酒場・ビヤホールの214件
倒産、休廃業・解散が最も多かった業態は酒場・ビヤホールが214件で前年度比12.0%増だった。ついで中華・東洋料理店が174件(前年度比:34.9%増、以下同じ)、西洋料理店が151件(17.5%減)、一般食堂が126件(31.3%増)、日本料理店が123件(0.8%減)、喫茶店が122件(8.0%増)、バー・キャバレーなどが79件(14.1%減)、その他の一般飲食店が75件(2.6%減)、すし店が51件(27.5%増)、そば・うどん店が46件(24.3%増)、料亭が19件(5.0%減)となっている。
販売不振や人手不足とともに、参入しやすいもののさまざまな評判を受けて安定的な経営や難しい業界であることや、今後に予定されている消費税の増税や東京都の受動喫煙防止条例などから、「今後も厳しい状況が続くと予想される」と指摘している。(記事:県田勢・記事一覧を見る)