新鉱物「アルミノ杉石」発見 豊富なリチウム 山口大などがイタリアで

2019年6月9日 18:26

 山口大学の永嶌真理子准教授らのグループは、イタリアのCerchiara鉱山において新鉱物を発見、これを「アルミノ杉石」と命名した。

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 研究に参加しているのは、永嶌准教授の他、Rigaku社の松本崇博士、ジェムリサーチジャパン社の福田千紘氏、今岡照喜山口大学名誉教授、イタリアAssociazione Micro-mineralogica ItalianaのGianluca Odicino氏、Gianluca Armellino氏ら。

 国際鉱物連合の新鉱物・命名・分類委員会において審査が終了し、4月8日に新鉱物と正式に認められた。

 このアルミノ杉石は、かつて1976年にやはり山口大学の村上允英名誉教授が愛媛県岩城島で発見した「杉石(スギライト)」という宝石の亜種であるという。

 この杉石、岩城島で採れるものは無色透明であるのだが、その後南アフリカでも発見され、そちらは今回のアルミノ杉石と似た、紫色の色をしている。大きな塊で産出するので鉱物としての希少価値はさほど高いわけではないが、紫色が鮮やかで美しく、また宝石として扱える品質のものは、そう多くはない。

 アルミノ杉石は、この杉石のアルミニウム置換体であることからこう命名された。理想式はKNa2Al2Li3Si12O30で、現在山口大学理学部の地球科学標本室で見ることができる。

 アルミノ杉石はミラー石族鉱物に属し、ミラー石族鉱物はこれまでに24種類が発見されている。なおアルミノ杉石はリチウムを多く含むため、宝石としてだけではなく、リチウム資源としても注目されるのではないかという。

 研究の詳細は、European Journal of Mineralogyに発表される予定となっている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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