119年前に撮影された皆既日食の動画が公開
2019年6月7日 13:24
headless曰く、
119年前にフィルム撮影された皆既日食の動画を英国・王立天文学会と英国映画協会(BFI)が公開した(王立天文学会のニュース記事、The Verge、SlashGear、 YouTube)。
動画は1900年5月28日、英国天文学協会の調査旅行に同行したマジシャンで映画製作者のネビル・マスケリン(グリニッジ天文台5代目責任者で天文学者のネビル・マスケリンとは別人)が米国・ノースカロライナで撮影したもの。皆既日食の撮影は容易ではなく、マスケリンは特製の望遠アダプターをカメラに取り付けて撮影したそうだ。マスケリンは1898年にもインドで日食の写真撮影に成功しているが、帰路でフィルムが盗まれてしまったという。
このフィルムは初期の映像歴史学者が何年も探して見つからなかったものだが、最近になって王立天文学会のアーカイブで断片が発見されたそうだ。映像はBFIナショナルアーカイブの専門家がスキャンし、4K映像に復元した(YouTubeで公開されているのは最大720p)。動画は現存が知られるものの中で、皆既日食の動画としては最古、マスケリンの映画としては唯一のものとなる。また、天文現象を撮影した映画としても最古の可能性があるとのこと。
ビクトリア朝の世界ではテクノロジーの進歩とマジックが混然一体となっており、初期の映画製作者にはマジックシアターで働いていた人やイリュージョニストとしてパフォーマンスしていた人も多いという。マスケリンはロンドン・ピカデリーにあった有名なマジックシアター「エジプシャンホール」を経営しており、ショーで映画を使用したトリックも取り入れていたとのことだ。