ANRI、基礎研究の学生向けに奨学金 最先端分野の若手研究者を支援
2019年6月6日 21:26
独立系のベンチャーキャピタルANRI(東京都文京区)は6日、数学や物理学、生物学、化学の分野の研究者を対象とした、給付型奨学金プログラム「ANRI基礎科学スカラーシップ」を開始すると発表した。8月末までを期間として、1人当たり50万円の奨学金給付対象者を、最大で10名まで募集する。
ANRIは、佐俣アンリ氏が2012年に立ち上げたベンチャーキャピタル。2016年からは、パートナーとして鮫島昌弘氏も参画。これまでに、シード、アーリーステージのスタートアップのほか、ハイテク産業への投資などを含め3本のファンドを立ち上げ、累計で約100億円の運用実績がある。
ANRIが今回のスカラーシップ制度を始めたのは、数学や物理学、生物学、化学など、実用化に時間がかかる分野の基礎研究は資金が集まりづらく、研究者が厳しい環境下にあることに起因する。
ANRIは、大学や学術機関発のハイテク系スタートアップへの投資に注力しているが、日本の未来を創るこれらの分野で重要な役割を担う若手研究者を支援することにより、日本の科学技術の発展に貢献することを目指す。
「ANRI基礎科学スカラーシップ」では、書類選考で選抜した数学、物理学、生物学、化学などの若手研究者最大10名に対し、1人当たり50万円の奨学金を、1年を対象期間として給付する。8月末まで募集し、発表は、10月頃の予定だ。すでに東京大学で生物情報科学や高エネルギー天文学、素粒子物理学の研究を進める3名には、給付を開始している。
世界では、多くのベンチャー経営者やベンチャーキャピタルが、こうしたスカラーシッププログラムを運営しており、ANRIもそれらにならい、世界最先端の基礎研究に取り組む学生を支援し、日本の科学技術の発展に寄与したいとしている。