世界のセキュリティ担当「AI活用セキュリティに効果あり」8割超え
2019年6月5日 12:12
AIテクノロジーは既に企業業務のみでなく一般の社会生活の中に入り始めている。AIの利用は一般的にマーケティング戦略の構築や消費生活での知識獲得のための利便性の視点から語られることが多い。しかしAIとは高度なシミュレーションのことであり、未来の脅威も含む未知の分野の情報の獲得こそが本来の狙いであるとも言える。
事前の想定が困難な分野と言えばサイバーセキュリティである。IoTなどモノとインターネットが連携を強化して行く現在、サイバーセキュリティの事前対応は企業にとって最も重要なテーマだ。膨大なアクセスデータから学習するAIがこの問題解決の強い武器になり得るのは間違いない。
カナダに本社を置くセキュリティ強化を重視する通信機器メーカーのBlackBerryが世界規模のAIセキュリティに関する調査を3月に実施、日本法人がその日本語版要約を5月21日に公表した。
この調査は、世界の企業および政府機関でセキュリティを担当している者261人を対象に行ったもので、その結果、85%の担当者が「AIを活用したセキュリティは今まで以上に効果がある」と回答している。担当者の回答では、AIベースのソリューションの利用としては、「予測分析」が76%、「ディープラーニングプラットフォーム」が74%、「機械学習プラットフォーム」73%が上位3位となっている。
これらのうち「サイバー防御」が75%、「マルウェア防御」71%、「高度な脅威の検知と防御」69%が高い割合になっている。この結果からは、セキュリティ担当者の多くが、高度な脅威検知やマルウェア防御、さらに意思決定支援や法令順守など幅広い分野でAIセキュリティソリューションが効果的であると考えているようだ。
現時点では、AIの採用率が最も高いのはサイバー防御の領域であり、脅威が既知か未知か内部か外部かにかかわらず脅威の検知、防御、対処にAI活用の需要が引き続き中心となると予測される。
BlackBerryの最高情報技術責任者であるKumud Kalia氏は「IoTデバイスへの依存が急激に高まるなか、不正行為が行われる可能性も急上昇している。セキュリティチームが予測による優位性を得るには、特に、マルウェアに対する保護や、これまで捕捉できなかったマルウェア以外の脅威の検知と対処を実現するためAIの採用が欠かせない」とコメントしている。(編集担当:久保田雄城)