ふるさと納税にインバウンド効果 納税先に興味7割 訪れた1割

2019年6月4日 09:12

 総務省は先月14日、今月からの新ふるさと納税制度から大阪府泉佐野市を含む4市町を除外すると公表した。4市町は総務省の基準に反する返礼品で寄付金を集めたと言うのが理由だ。6月以降、同市町への寄付は住民税減税の特例の対象とならなくなる。総務省の甘い制度設計が基になったこの混乱は、自治体、利用者サイドから少なからず批判も出ている。

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 これに関連し旅行関連サービス業のエアトリが20~70代の男女685名を対象に「ふるさと納税がもたらした効果」に関するインターネット上の調査を実施、その集計結果を15日に公表している。

 調査結果によれば、「ふるさと納税を行ったことで納税先の地域に興味を持ったか」という質問に対して「興味を持った」と回答した者が72.7%と7割超えの者が「ふるさと納税」をきっかけに地方に興味を持つようになったようだ。さらに11.3%の者が実際に「納税先の地域を訪れた」と答えており、その関心度の高さがうかがえ、この制度が自治体や地方の広報・インバウンド(観光・住民引き込み)機能も有しているとも考えられる。

 今回、総務省から強い批判を受け、また総務省の除外決定に対して強い異議を唱えた泉佐野市についての質問では、「以前より知っていた」が48.2%。「今回の件で初めて知った」が36.6%となっており、現在では8割超えの者が知っており、「ふるさと納税」の取り組み、総務省との対立が市の知名度を向上させたことは間違いない。

 現時点での市のイメージについては、過半数が「特に変わらない」と答えた一方で、「良くなった」が18.6%、「悪くなった」は17.9%と意見は二分している。「良くなった」と回答した者の意見では「自ら知恵を絞り市の経済危機を乗り越えようとする姿勢」などを評価しており、逆に「悪くなった」は「儲かればいい、という貪欲な感じがする」などとなっていて、自治体の企業性をどの程度まで許容するかで意見に相違が出るようだ。

 エアトリは13日に公表した別の調査の結果では、納税先を「返礼品」で選ぶ者が8割を超えている一方で、6月からの法規制を「知らない」者が約2割存在し、返礼品の規制の評価については「賛成」が29.3%、「反対」が5.4%で規制賛成派が多いという結果になっている。

 「ふるさと納税」は単に財政面の問題だけでなく、自治体や地方の広報、インバウンドにも大きな効果が期待できる。「ふるさと納税」に積極的な人達は自治体の返礼品を中心とした企業努力に期待している。総務省のフェアで明確なルール作りが重要だ。(編集担当:久保田雄城)

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