中国進出企業は1万3685社で微減、年商規模大きな企業は増加 帝国データバンク調査

2019年6月3日 12:16

 帝国データバンクが中国に進出した日本企業の動向について発表し、全体の進出企業数は前回調査からわずかに減ったものの、年商規模が10億円を超える企業では進出数が増えたことが分かった。

【前回2016年調査は】中国進出企業増加。撤退時の注意も必要――帝国データバンク

■中国進出企業は微減
 5月31日、帝国データバンクが「日本企業の中国進出動向(2019年)」を発表した。これは、同社のデータベース・信用調査報告書ファイル「CCR」から抽出した企画商品「ATTACKデータ(海外進出企業)」を元に、中国への進出が判明した日本企業について分析を行ったもので、2010年、12年、15年、16年に続いて5回目。

 2019年5月において中国に進出している日本企業の数は1万3,685社。これは前回(2016年)調査の1万3,934社から294社減。また過去最大だった2012年の1万4,394社から709社減となった。

■製造業、卸売業、サービス業の順
 業種別で最も進出企業数が多かったのは製造業で5,695社と前回(2016年)比2.7%減だった。ついで卸売業(企業数:4,495社、前回比:3.0%減、以下同じ)、サービス業(1,689社、0.9%減)、小売業(472社、6.2%減)、運輸・通信業(424社、1.2%増)、金融・保険業(379社、10.5%増)、建設業(315社、2.3%増)、不動産業(171社、23.0%増)、その他(45社、45.2%増)の順。

■増えた業種と減った業種
 製造業では、最も進出企業数が多い「工業用プラスチック製品製造」が192社で前回比5社減、自動車部品・付属品製造が同5社減の159社と減ったが、自動車駆動・操縦・制御装置製造が同6社増の90社と増えている。卸売業では、「電気機械器具卸売」が同9社減の577社、婦人・子供服卸売が同37社減の184社、精密機械器具卸売が同5社増の106社、自動車部品・付属品卸売が同13社増の99社。

 小売業では、「婦人・子供服小売」が同1社減の51社、「各種商品通信販売」が同4社減の29社となった一方、日本料理店が同5社増の21社、酒場・ビヤホールが同2社増の16社。また不動産業では、貸事務所が同8社増の74社となったほか、建物売買が同8社増の30社、不動産管理が同5社増の18社、不動産代理・仲介が同5社増の17社で増えたが、貸家業は同3社減の13社となっている。

■年商10億円以上の企業が増加
 年商規模別では、1億円未満の企業数は前回比8.7%減の504社、1億円以上10億円未満は同6.6%減の3,883社と減ったが、10億円以上100億円未満が同0.1%増の6,066社、100億円以上1,000億円未満が同2.0%増の2,611社、1,000億円以上が同6.3%増の605社でと増えている。

 業種別でも製造業、卸売業、運輸・通信業、サービス業で同様に年商規模が大きいゾーンで進出企業数が増える傾向にあるが、小売業では年商規模が10億円以上100億円未満が同9.8%増の190社となった以外は、1億円未満が同16.7%減の15社、1億円以上10億円未満が同15.6%減の130社、100億円以上1,000億円未満が同10.8%減の107社、1,000億円以上が同12.5%減の28社と、いずれも2桁の割合で減少している。

■撤退時のコスト増を懸念
 中国に進出した企業の要因では、「中国国内の需要を見越して現地生産工場を開設」「日本市場で培ったノウハウを中国市場へ展開」などがあげられた。反対に中国から撤退した原因としては、「人件費の上昇、為替安などによるコスト増により採算性が悪化」「ネット通販などの普及で経営環境が急速に悪化」「中国国内での人材育成が追い付かない」「中国景気の減速により収益維持が困難」などをあげている。

 また米中での貿易摩擦が続けば、「中小企業に加え大手企業でも減少」する可能性を指摘。中国からの撤退時に独自の法整備がなされている地域もあるため意外な負担が生じる場合もあることから、「米中間でサプライチェーンを構築している中小 企業については、中国事業における業績への影響が多い」と想定し、今後も注視が必要としている。(記事:県田勢・記事一覧を見る

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