国内旅行に減速感、19年1-3月期は消費額が前年比5.3%減少 単価は1.1%増

2019年5月29日 09:09

 消費の節約ムードは未だ十分には払拭されていないというものの、近年の景気回復を背景に国内の観光旅行は持ち直しの傾向で推移してきた。将来のための貯金をしっかりする一方で使うときには使うというのが最近の消費行動の傾向であるようだ。その中で思い切った消費というと一番人気があるのが旅行で、海外旅行とともに国内旅行も人気のようだ。高齢化の影響も背景にあるようで、定年後にしたいことのトップは旅行である。

 しかし、このところ国内旅行の消費動向に減速感が見られるようだ。観光庁が21日、「旅行・観光消費動向調査(2019年1-3月期速報)」を公表している。報告書によれば、今年1月から3月の日本人の国内延べ旅行者数は1億1929万人で前年同期と比べると6.4%の減少となっている。宿泊および日帰りの内訳を見ると、宿泊旅行が6301万人で前年同期比6.7%の減少、日帰り旅行が5628万人で同5.9%の減少と、宿泊・日帰りともに減少となっている。

 ここ3年の旅行者数の推移をみると17年10-12月期から減少に転じ、昨年18年の10-12月期の16.8%の大幅減少から比べれば減少幅は縮小したというものの未だ減少傾向が続いている。

 消費額についてみてみると、1-3月期の国内旅行消費額は4兆1954億円で前年同期と比べ5.3%の減少となっている。宿泊・日帰りの内訳では、宿泊旅行が3兆2206億円で前年同期比4.7%の減少、 日帰り旅行が9747億円で同7.3%の減少と双方とも減少だ。

 国内旅行消費額は18年の7-9月期に6兆4422億円で最高を記録した後減少傾向で、季節変動もあるが、1-3月期の消費額は17年が4兆4113億円、18年が4兆4184億円であったが、今年はこれらを大きく下回り長期的にも減少傾向で推移しているようだ。

 一方、1人1回当たり旅行単価は3万5170円で前年 同期と比べ1.1%の増加となっており、内訳を見ると宿泊旅行が5万1112円で2.2%増加しているのに対し、日帰り旅行は1万7321円で1.4%の減少となっている。このところの単価の推移を見ると、18年より増加傾向で推移しており、旅行回数が減り、その代わりに一人一回当たり単価が上昇している結果となっている。

 こうした傾向がどのような背景を持つかはこの報告書からは知り得ないが、節約ムードが高まってきている中で旅行回数を減らしても質を落とさない旅行を楽しんでいるのかも知れない。(編集担当:久保田雄城)

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