東北電力、火力発電所の自動パトロールシステム実用化へ ロボットやAI活用
2019年5月29日 12:15
東北電力(仙台市青葉区)は28日、火力発電所での設備パトロールの自動化に向けたシステム開発に、日本ユニシス(東京都江東区)と共同で取り組むと発表した。東北電力では2018年から、ドローンなどのロボットやAIを使ったパトロールが実現できないか、日本ユニシスと実験や検証を行ってきた。その結果、「基礎的な技術の有効性を確認できた」として本格的な開発に着手することになったという。
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今後5年のうちに実用化を図り、4年後に運転開始予定の上越火力発電所1号機(新潟県上越市)や既設火力発電所への導入を目指す。
火力発電所では毎日、職員が発電所内を巡回して設備の点検を行っているが、多数の設備や機器を一つ一つ丹念にチェックしなければならず、かなりの時間と労力を要している。このためいかに点検作業の負担を軽減し、業務の効率化を図るかが課題となっていた。
同社では18年から、廃止された新潟火力発電所4号機(新潟市東区)を実験場所とし、操縦者がいなくても自律飛行できるドローンの運用や、ドローンに登載したカメラで撮影した画像をAIで解析する方法について実証実験を実施。AIを使った画像解析は、日本ユニシスが開発した空間認識プラットフォームを活用。設備の正常な状態を学習させることによって、異常な状態を検出する手法が有効なことを確認した。
今後、ドローンやAI技術、センサー技術などの機能の充実を図るために本格的な実証実験を実施。ドローンなど完全自律型ロボットが発電所内をパトロールして設備などの状況をセンサーで感知、AI解析で異常がないかどうかを判断するシステムの開発を進める。数年後には既設の火力発電所でシステムを試験運用し、5年後までに上越火力発電所1号機や既設発電所などに導入する予定。
その後はさらに、他の産業の工場設備でも活用できる汎用性の高いシステムの構築を目指すという。東北電力では「自動パトロールシステムが導入されれば、業務の効率化に加え、設備パトロールの手法が多様化し、火力発電所のさらなる安定運転に向けた取り組みを充実させることができる」としている。