ホンダ、交換式電池「Mobile Power Pack」搭載EVバイクの展開を積極化
2019年5月28日 09:13
ホンダは交換式電池パックの事業拡大を目指し、既報した3輪シニアカー「EAMO」を含めて出力用の数種の新型バッテリーパック「Mobile Power Pack」搭載モデルをパシフィコ横浜で開催した「人とくるまのテクノロジー展2019」で展示した。電池パックの用途を広げてグローバルで普及を促し、生産数を増やしてコストを下げていく戦略だ。
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ブースのメイン展示車はホンダの電動原付2種の「PCX ELECTRIC」で、国内二輪事業社のホンダ、ヤマハ発動機、スズキ、川崎重工業の4社が共同で「交換式電池パック」の仕様統一に乗り出す。4社は同じ仕様の交換型電池パックを使った125cc以下クラスの原付2種を開発して、交歓ステーションなどのインフラの協業も視野にいれる。
同時に小型バイクの大きな市場とされる東南アジア諸国連合(ASEAN)への共同進出も目論む。じつは、電動バイクは東南アジア市場にこそ不可欠だ。中国のメーカーがEVバイクで進出しており、各社にとってEV二輪車の市場投入は避けて通れないといえる。
電動バイク開発・運用には、いくつかの課題がある。自動車に比べて駆動用電池の搭載スペースが限られ、一度の充電で走れる距離を稼ぎにくい。また、あまり大きな容量の電池を積むと、運動・走行性能に支障が出る。そこで日本の4社は、電池交換式システムを積極的に使って、利用者が電池を使い回して、この課題を解決する考えだ。
この方式だと電池交換に要する時間は10数秒で、電動車の弱点である数時間から一晩というような充電時間の長さの問題も一挙に解決する。また、パッテリーの進化・進歩に合わせて性能がアップデートした電池への載せ替えも簡単だ。加えて、バイクだけでなく「EAMO」のような電動カートや電動車いす、家庭用非常電源にも容易に使える。電動バイクにとっても高価な電池を使い回すことで、本体価格も下げやすくなる。
ホンダは、今回の「人とくるまのテクノロジー展2019」で展開したように、バッテリーパック「Mobile Power Pack」搭載モデル開発に積極的だ。冒頭の「PCX ELECTRIC」に次いで、この3月には110cc・50ccクラスの小型コマーシャルバイク「BENLY ELECTRIC」のプロトタイプを公開した。
また、今回は聞けなかったが、一昨年に発表した郵便配達用の郵政カブの電動化とリンクさせる可能性も大きい。地域の集配郵便局にバッテリーの充電・交換ステーションを設置して「Mobile Power Pack」の利便性を高めることは可能に思える。(編集担当:吉田恒)