【新規上場(IPO)銘柄】日本ホスピスは成長の余地あり、3000円どころで下値を固めるか注目

2019年5月28日 09:01

 日本ホスピスホールディングス<7061>(東マ)は、3月28日に東京証券取引所マザーズに上場した。同グループ社は、「すべては笑顔のために」というコーポレートスローガンを掲げ、在宅ホスピスを持続可能なシステムとするために、新しい在宅療養モデルを推進している。訪問看護ステーションを中心とした在宅サービスに、その拠点機能を併せ持つバックベッドとしての「ホスピス住宅」を組み合わせたモデルとなっている。同社のグループは、同社と連結子会社2社(「おうち:自宅」での療養をささえる在宅ホスピスサービスの提供を特色としたナースコール(株)、高齢者向けの住宅運営及び介護サービス事業を運営するカイロス・アンド・カンパニー(株))の3社により構成されている。同社のグループでは、2018年12月期に4施設(ナースコール(株)にて2施設、カイロス・アンド・カンパニー(株)にて2施設)を新たに開設し、18年12月期末時点、ナースコール(株)にて6施設、カイロス・アンド・カンパニー(株)にて6施設、合計12施設を運営している。

 ホスピス住宅事業では、入居者をがん末期患者や難病患者等に限定したホスピス住宅にてケアサービスを提供している。訪問看護と訪問介護事業所を併設又は近設もしている。

 訪問看護事業では、「おうち」で療養し、最期まで暮らし続けることを保証するサービスの中心的役割を担い、訪問看護ステーションから、病気や障害を持った方が住み慣れた地域やご家庭で、看護師や療法士等のケアチームが訪問し、看護ケアを提供し、自立への援助を促し、在宅療養生活を支援している。

 在宅介護事業では、訪問介護事業(ヘルパーステーション)、通所介護事業(デイサービス)、看護小規模多機能型居宅介護(カンタキ)、定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業を行っている。

 今19年12月期第1四半期業績実績は、売上高9億4600万円、営業利益1億0300万円、経常利益7100万円、純利益4600万円に着地。第1四半期においては、これまでの施設に加えて、1月に「ナーシングホームOASIS北(名古屋市北区)」、3月に「ファミリー・ホスピス池上ハウス(東京都大田区)」の2つのホスピス施設を増室する等、引き続き拠点の拡大を推し進めている。なお、これらの増室施設を含めて、各ホスピス施設の稼働率はいずれも順調に推移している。

 今19年12月期業績予想は、売上高42億5100万円(前期比41.0%増)、営業利益5億1500万円(同39.3%増)、経常利益4億0700万円(同43.1%増)、純利益3億1200万円(同41.5%増)を見込む。売上高は、既存施設12施設の売上高、今19年12月期開設予定施設2施設(5月に1施設、11月に1施設)と、増室予定2施設(1月に1施設、3月に1施設)の売上高の合算を想定している。上場で調達した資金は、施設開業や増室に関する採用活動費、人件費、賃借料などに充当し、年間配当予想は、無配を予定している。

 株価は、上場初日の3月28日に公開価格1000円を46.6%上回る1466円で初値をつけ、5月22日に上場来高値3380円と上昇している。同社グループの18年1月末日時点の増大する社会保障費の打開策として、病院から在宅を中心とした医療への転換が求められる一方で、死亡者数は増加が予想されることから、受け皿不足で約30万人が「看取り難民」になる恐れがあり、施設の開業、増設余地は広がり、成長が続く見通し。3000円どころで下値を固めてくれば、さらに上値を試す可能性はありそうだ。(株式評論家・信濃川)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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