風力発電等で生じる超低周波音を非接触で計測できる新技術開発 東京都市大

2019年5月28日 07:52

 東京都市大学では、レーザドップラー振動計を用いて、世界初となる100分の1ヘルツの超低周波音を測定できる非接触測定技術を開発した。合わせて装置化にも成功した。

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 大型の回転機器などから生じる、耳に聞こえない超低周波音に人が長くさらされると、低周波振動が人の前庭器官を直接刺激して、睡眠障害や血圧上昇、めまい、頭痛、耳鳴り等の問題を生じさせると言われている。

 最近では、地球の持続的発展のため再生可能エネルギーの普及が進められ、世界各地で大型の風力発電システムが多数設置されたが、設置地域では機器が発する20ヘルツ以下の超低周波音による健康被害の疑いが多数生じている。低周波音は人の耳に聞こえず、有効な測定技術もなかったことから、風力発電システムの周辺で生じていた、めまいや頭痛・不眠などの症状の原因を特定できていなかった。

 これまでの低周波音の測定には、測定部位に電気素子を取り付ける電気的な振動検出法があったが、対象となる音源振動が超低周波数のため、素子の設置による振動の変化が懸念され正確な測定ができていなかった。そこで東京都市大学では、測定部位にレーザ光を照射する非接触の計測技術を開発した。

 今回の測定技術は、レーザドップラー振動計を用いて測定部位にレーザ光を照射し、あわせて測定部位からの反射光をレーザ光源内部に帰還させて、光源内部で発振光と干渉を生じさせる自己光混合効果を利用した。この干渉の解析を行うことで10ヘルツから10ミリヘルツの超低周音の測定に世界で初めて成功した。

 測定技術の開発と同時に装置化も実現でき、低周波音の現場調査に対応できるよう、縦70センチ、横70センチ、高さ20センチ、重量2kgの可搬サイズにまとめた。

 この研究開発成果は、2月に米国光学会(OSA)の学術論文誌“Applied Optics”に掲載された。

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