4月の小企業動向は改善も、値上げ見込みの企業が増加 日本公庫調査
2019年5月25日 06:55
日本政策金融公庫が4月の全国小企業月次動向調査を発表し、製造業や小売業などにより4月は改善したものの、5月は再び悪化する見通しとなることや、今後値上げを考えている企業が増えていることが分かった。
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■4月の売上DIは改善
23日、日本政策金融公庫が2019年4月の全国小企業月次動向調査を発表した。4月の売上DI(動向指数)は-3.2で、3月の-13.3から、10.1ポイント改善した。これは直近では、2カ月前となる2019年2月の-3.2、さらにさかのぼると2017年の水準まで戻したことになる。
■製造、小売、飲食、運輸で大幅改善
業種別で売上DIが改善したのは、製造業(4月:-2.2、3月比:10.7ポイント増、以下同じ)、小売業(-1.4、14.2ポイント増)、飲食店(0.2、12.8ポイント増)、サービス業(-13.5、0.5ポイント増)、運輸業(3.3、16.9ポイント増)。反対に悪化したのは、卸売業(-0.3、5.9ポイント減)、建設業(-5.3、8.6ポイント減)の2業種。
■今後に値上げする予定が29.1%
販売価格DIは8.7で、3月の10.8から2.1ポイントの低下。仕入価格DIは29.1で、3月の31.1から2.0ポイント低下とどちらも低下した。最近半年間の販売価格の動向を尋ねたところ、「引き上げた」と答えたのは19.1%、「変えていない」が78.4%、「引き下げた」が2.5%だった。今後の方針については、「引き上げる」が29.1%、「変えない」が69.4%、「引き下げる」が1.5%となっており、値上げの傾向が伺える。
この動向について具体的な回答も掲載している。値上げに関しては「資材の価格が上昇したため」「輸送費が上昇したため」「仕入れ値が半年で2回上がり」「消費税引き上げを見込んで」「燃料費が上がった分」の回答がある。値下げの原因では「例年に比べて売上が伸びず」「暖冬の影響で仕入価格が下がり」、値段を変えていないケースでは「客離れの懸念があるため」「消費税引き上げの影響次第」の回答があった。
■5月の見通しは悪化
5月の売上DI予測は-8.8で、4月の-3.2から悪化する見通し。なお4月の見通しは-7.9だった。見通しが悪化する業種は、製造業(5月見通し:-16.4、4月比:12.2ポイント減、以下同じ)、卸売業(-13.7、13.4ポイント減)、小売業(-14.6、13.2ポイント減)、運輸業(-23.9、20.6ポイント減)と、いずれも2桁の悪化を予測している。反対に改善する業種は、飲食店(8.2、8.0ポイント増)、サービス業(10.8、2.7ポイント増)、建設業(-4.8、0.5ポイント増)の3業種。(記事:県田勢・記事一覧を見る)