フラット35の不正利用、国の補助金付き案件多数 機構が調査
2019年5月18日 20:41
住宅金融支援機構は17日、フラット35の不適正利用の疑いがある113件を対象に調査を実施している旨を発表した。その全てが、フラット35の中でも特に金利の低い「フラット35S」だった。現時点で疑いのある113件の調査に加え、5月中旬より居住実態調査を開始。調査の結果不正が判明した場合には、住宅ローンの全額返済だけでなく、優遇金利で浮いた利息分の支払い請求を予定している。
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住宅金融支援機構の発表によれば、昨年9月に、ある不動産仲介業者等がフラット35の不適正利用を顧客に斡旋しているとの情報を外部より入手。その後、その不動産仲介業者等が斡旋した疑いのある113件について調査を進めており、今年9月までに調査を終了させる予定。当初より投資目的だった不動産を居住目的と偽って申請されたケースと、より高額な融資を得るために不動産売買価格を水増しして申請されたケースがある。
住宅ローン「フラット35」は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する最長35年固定金利の住宅ローン。長期固定の低金利に加え、保証人不要、繰上げ返済手数料不要など条件が優れている。
投資用不動産を購入するためのローンは、通常、住宅ローンと比べ金利の高い事業性ローンが適用される。居住用としてフラット35を利用して購入した後にその物件に住めなくなった場合は、フラット35の維持は認められているものの、初めから賃貸する目的でフラット35を利用することは契約違反に該当する。今回、金利など条件の優遇されたフラット35を利用するために、虚偽の申請が行われた可能性がある。
現時点で疑いのある113件は、フラット35の中でも特に金利の低いフラット35Sに該当。フラット35Sは、低炭素住宅などの省エネ性、高齢者配慮対策などのバリアフリー性、耐久性および耐震性等の条件を満たした物件について、国が同機構へ補助金を支給することで利用者が負担する利息が軽減されるフラット35の一種。同機構および同機構を所管する国土交通省は、不適正利用が判明すれば返還を求める可能性があるとしている。(記事:dailyst・記事一覧を見る)