元乃木坂能條愛未の舞台出演ラッシュが止まらない
2019年5月17日 12:11
6月29日から7月7日まで、シアターGロッソで公演される『少女革命ウテナ~深く綻ぶ黒薔薇の~』のヒロイン、ウテナ役に、元乃木坂の能條愛未が前回の「白き薔薇のつぼみ」に続き続投することが決まった。
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この作品は、昨年能條が初めて主演する舞台として公演され、その凛々しくも繊細な美しさと演技で、乃木坂のバラエティで見る、弄られ役のイメージしかなかったファンを驚愕させるとともに、アイドルに興味のない原作アニメのファンからも高い評価を受けた彼女にとって記念すべき作品である。
ついでにいえば、前作で共演した俳優、戸谷公人とのデートを週刊誌に撮られ、それが乃木坂卒業の遠因にもなったのではないかと噂された作品でもあるわけだが、そういうスキャンダルを起こしても今回続投が決まったというのは、前作を見たファンの多くが「ウテナは能條しかない」という声が多かったということでもあるだろう。
それにしても、乃木坂を卒業後の能條愛未の舞台出演ラッシュはすさまじい。
昨年末に卒業したのだが、年明け早々には『GIRLS REVUE』で乃木坂の後輩たちと共演し、さらに3月には『HARUTO』で京本大我と共演。初めてのヒロイン役を演じ、さらに5月には初のストリートプレイである『吼える』に出演。
今後も、『大人のカフェ』『上にいきたくないデパート』『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』そして『少女革命ウテナ』が控えている。
この勢いだと、それこそ月1で大きな舞台に出演することになり、今最も舞台出演のオファーが多い女優といっても過言ではないだろう。
能條の強みは、儚さを持つヒロインから戦う戦士、さらにはコメディからシリアスまで、とにかく幅広い役柄を演じされるところ。
現在ブレイク中の中村倫也ではないが、まさに「カメレオン女優」としての安定感が、アイドル卒業1年目にしてあるというのは素晴らしいとしかいいようがない。さらに彼女の場合、その歌唱力も観客を引き付ける大きな武器になっている。
『HARUTO』における京本大我とのデュエットは、この2人でユニットを組んでCDを出して欲しいという声があったほど、観劇したファンの中では評価が高かった。
そして最大の武器は声だろう。
とにかく彼女は舞台女優として大切な「声の通り」がいい。乃木坂に在籍していたころ、バラエティではいきなり指されるとごにょごにょした、よく聞き取れない発言で突っ込まれることもあったのだが、舞台では、小声のシーンでもしっかりと聞き取れる発声のよさがあり、その特徴的だが場にきっちり調和する声で自己主張をしながらも空気を壊さないというのが素晴らしいのだ。
さらに特筆すべきことは、彼女への高評価は、乃木坂時代のアイドルヲタクの延長線にいる男性ファンだけではなく、共演した俳優や演出家のファン、あるいはウテナのような原作のファンといった、新しい層がかなり多いということ。
女優としての能條を応援するファンを獲得していく実力が、乃木坂で、なかなか選抜に上がれずに苦しんでいた時代にしっかりと醸成されていたことで、アイドルとしてのイメージを女優としての評価が越えたという意味では、前代未聞のことかもしれない。
今後は舞台と並行して映像作品への進出も期待したいところである。(記事:潜水亭沈没・記事一覧を見る)