アイドルのセカンドキャリアを追った書籍が話題に!
2019年5月14日 16:40
今年も多くのアイドルが卒業していく。特にAKBや乃木坂のような、大世帯のアイドルの場合、メンバーの新陳代謝は激しく、卒業して芸能界からも去ったメンバーの消息はなかなか聞かないものだ。
【こちらも】元乃木坂46 川後陽菜の活躍に見るアイドルの新時代
そんな、どこか寂しさを感じているこのタイミングで、『アイドル、やめました。AKB48のセカンドキャリア』という本が話題になっている。
これは元SDN48(AKBの派生グループだが、年長者中心に土曜の夜だけ公演をしていたグループ)に所属し、その後会社員を経てライターに転向した大木亜希子さんの追跡取材記事で、アイドルを経て第二の人生を歩む女性たちの現在を丁寧に取材しているようだ。
よくある下世話な『あの人は今』的なものではなく、アイドル時代の葛藤から卒業を決意するまでの転機、そして卒業後の努力などがきちんとまとめられており、これからアイドルを目指す女性や現役、さらにはファンにとっても読みごたえのある本だといえるだろう。
帯には作家、燃え殻氏の
「読んだら安心した。誰もが無傷じゃない。それでも誰も下を向いていない」
という推薦文もあり、芸能活動諦めた卒業生たちが、しっかりと前向きに頑張っている様子が期待できる。
終身雇用制の崩壊は、我々だけでなく芸能界でも様々な地殻変動を起こしており、アイドルという職業は、あるいは歌手、タレント、俳優という職業も、一生ものではなくなりつつある。
もちろん元アイドルの肩書を活かして、起業したり、芸能界で頑張る子も多いわけだが、そうではない子が「落ちぶれ」「惨め」と、わけのわからない同情をされたり、卒業を発表しただけで「AV行きか?」と望んでもいない方向への暴言を浴びる必要など、まったくないということが、この本を読めばわかると思う。
アイドルを経験したということは決してハンデやマイナスではない。なかなか経験できないことを経験した彼女たちが、社会人として、その経験をどう活かして今を生きているのかを知ることは、ファンにとっても大切なことだと記者は考える。
乃木坂を卒業する斉藤優里は最後の握手会でこういった。
「これからは私を応援することはやめて、友達になってください」
この発言の文字面だけ読んで、付きまといやストーカー行為が解禁されると勘違いするような人は、この本を読めば「乃木坂(あるいは所属していたグループ)を一緒に応援する立場になりたい」という彼女の思いも、理解できることだろう。
『アイドル、やめました。AKB48のセカンドキャリア』(大木亜希子著)は、5月23日、宝島社より発売される。(記事:潜水亭沈没・記事一覧を見る)