東海大、駿河湾で新種の深海魚「ミツバインキウオ」を発見

2019年5月12日 18:29

 東海大学の研究グループが、駿河湾で新種の深海魚を発見した。クサウオ科の一種に属するもので、「Paraliparis variabilidens(標準和名:ミツバインキウオ)」と命名され、学界に発表された。

【こちらも】淡水魚「カマツカ」の新種2種、関西学院高等部の教諭が発見

 研究グループに参加していたのは、東海大学大学院生物科学研究科博士課程3年次生の村﨑謙太氏と海洋学部水産学科生物生産学専攻の福井篤教授、髙見宗広講師ら。

 同グループは、2016年11月に東海大学海洋学部の小型艇「北斗」を用いて駿河湾の
水深1,462メートル~1,562メートルの深海を調査、1個体の深海魚を採取した。この標本がミツバインキウオである。

 クサウオ科はカサゴ目に属する魚類で、クサウオ、ビクニンなど29属334種がこれまでに知られている。科名Liparidaeはギリシア語の「liparos(脂肪)」に由来し、クサウオの名は「つまらないもの」を意味する方言に由来するとも、草色をしているからだともいわれる。ビクニンは尼僧に似た外見のためその名があるという。

 すべてが海水魚で、太平洋、大西洋、北極海、南極海にかけ幅広く分布し、浅い海域から深海までと生息域も広い。また日本では、クサウオは福島地方で食用にされる。

 今回発見されたミツバインキウオであるが、歯、ムナビレのかたち、眼球の大きさ、体色などが既知の種とは異なっていたことから新種であると判明したものである。種名は、この種の特色の1つといえる「先端が3つに分かれた歯」から付けられている。

 この研究グループによる駿河湾での新種発見は、2017年のスルガビクニン、2018年のオナガインキウオに続き3例目となる。

 研究の詳細は、英文学術誌『Ichthyological Research』のオンライン版に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

関連記事

最新記事