日本の総人口、8年連続で減少

2019年5月9日 08:57

 日本の総人口は2010年頃から減少の一途をたどっている。総務省統計局発表の「総人口の推移」のグラフは8年連続で右肩下がりを示している。19年も期待はできない。人口が減ることで考えられるのは社会保険制度の崩壊、教育産業や教育制度自体の衰退、労働人口の減少、などが考えられる。

 よく言われるのは「年金制度」を代表する社会保険制度の崩壊だ。高齢者人口と現役世代の割合が1:1に近づくことを「肩車型」社会という。高齢者世代1人を現役世代1人で支える必要があるということだ。1965年には「胴上げ型」、2012年には「騎馬戦型」と、65歳以上1人に対する現役世代の割合は次第にバランスを欠いてきているが、2040年にはさらに高齢者に対する給付と現役世代の負担がこれまでよりもさらにアンバランスになると予想される。

 少子高齢化が進むことによる子供向け教育産業の衰退も進むだろう。内閣府が夫婦を対象に調査した「子どもを持つことを理想とする理由」として、02年の段階では「子どもは老後の支えになる」「子どもは国の将来の発展によって必要」という回答が全体の30%を占めるも、前述の通り10年から18年までは減少しているのだ。国を支える人員として子どもの必要性を感じながらも、子どもが少なくなればこれまで難関と言われていた大学などでも定員割れが起こる可能性があり、学校教育や教育関連産業が衰退するだろう。

 さらに、「労働力人口」が減れば、国内市場の縮小が考えられる。市場が縮小すれば、投資先としての魅力がなくなり、国内だけでなく世界規模で日本という市場が衰退する。もちろん市場の立て直しを図るためには、労働力不足を補う必要がある。日本国内だけで労働力を補おうとすれば、労働の長時間化が進み、ワーク・ライフ・バランスの乱れが起きる。

 そのため、国を維持するために移民を受け入れる必要性も出てくる。日本では人手不足が進行し、移民を受け入れて外国人を雇用しなければサービス・介護・医療の場で労働力が不足してしまっているのが現状だ。移民の受け入れを積極的に行えば、文化的な面の変化なども予想される。日本では共通語として日本語が用いられているが、今後日本国内においても英語や中国語などの需要が高まる可能性は大いにある。

 日本の総人口が減少している問題は、経済や教育などの問題とも深く関わる問題だ。国としての問題であるだけでなく、影響の範囲は個人レベルの問題にもなる。早急な立て直しは困難でも、徐々に総人口の増加を目指す必要がある。(編集担当:久保田雄城)

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