夕食に食べるパスタは体重の増加につながらない イタリア国立衛生研究所の研究

2019年5月9日 08:54

●夕食の炭水化物は太るという定説をくつがえす

 炭水化物の摂取が体重の増加につながるという定説に異議を唱えたのは、イタリアの国立衛生研究所(Istituto Superiore di Sanità)の研究結果である。研究によれば、炭水化物の摂取が体重の増量につながるのは、摂取する時間ではなく量の問題であるという。

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●年齢や環境によって変わる摂取量

 研究では、パンやパスタ、コメなどの炭水化物の摂取は、バランスの取れた栄養摂取のためには重要なことであるとされている。ただし摂取量には、注意が必要である。

 年齢や運動量に見合った炭水化物の量の摂取が、体重の増加を抑えるためには最重要事項である。また多量の塩分や油分で味付けをすることは、当然好ましくない。脂肪分の多い食事を夕食に摂取すれば、過剰なエネルギーとなって体内で燃焼されない可能性があるためである。

 また一日の大半を、デスクワークで過ごし運動量が少ない人にとっても、過剰な炭水化物の摂取は体脂肪の蓄積につながる。

●睡眠の質を上げるパスタ

 ボストンのブリガム・アンド・ウイメンズ病院の研究によれば、不眠に悩む人にとって夕食に適量の炭水化物を摂取することは、セロトニンの生成につながるために有益であるとも報告されている。

 炭水化物を摂取することによりインスリンの分泌が促進され、ストレスを軽減するホルモンであるセロトニンやメラトニンの前駆体であるトリプトファンが吸収されやすくなるためである。つまりこの研究でも、就寝前に炭水化物を摂取することは、肯定的とされているのである。

 ただし、ブリガム・アンド・ウイメンズ病院の研究でも、夕食に摂取するパスタをはじめとする炭水化物は、適量でなおかつ濃い味付けを避けたものという条件がつけられている。

●炭水化物の理想量は1日の摂取カロリーの45~60%

 体重の増加は、炭水化物に原因があるのではなく、1日のカロリーと脂肪の過剰摂取にある。年齢や運動量に応じたカロリー摂取と同時に、正しい栄養の配分も健康の維持のためには不可欠である。

 専門家によれば、1日に摂取する炭水化物の理想的な量は、全カロリーの45%から60%である。また医師が診断した特定の疾病をのぞいて、炭水化物が健康に悪影響を及ぼすことはないことも、今回の研究では明記されている。

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