脳波を解析し人の気持ちを2次元で表示するシステム 電通の子会社が開発
2019年5月7日 21:50
人の気持ちが手に取るようにわかる装置を開発―。電通の子会社、電通サイエンスジャム(DSJ、東京都港区)は7日、人の脳波を測定することで感情を解析し、感情の変化を図表で示す感性把握システムを開発したと発表した。頭にヘッドギア型の脳波計を装着するだけで、そのときの感情をモニターに図表で表示することができる。同社ではCMの効果の検証や労務管理などへの活用を想定している。
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このシステムは「Valence-Arousal Analyzer(ベイランス-アロウザル アナライザー)」。1980年にジェームズ・A・ラッセルが提唱したモデルにによって感情を解析するという。
DSJによると、ラッセルのモデルはポジティブ-ネガティブを示すベイランスと、活性-不活性を示すアロウザルの2軸によって構成され、この2つの組み合わせで喜怒哀楽の感情が示すことができる。「Valence-Arousal Analyzer」では、頭に装着したヘッドギア型脳波計で測定されたデータから、ストレス度や快適度、集中度、眠気度などの感性を評価。それがどのような感情を示しているのかを推定して、モデル図上に表示する。またライトを光らせ、色によって感情を表現することもできる。
感情の推定には、同社がこれまで蓄積してきた大規模な脳波データを活用するほか、システム自体がデータから学習していくという。
同社では、既に脳波から感性を評価するシステムの実用化を行っているが、感情の把握には専門家の解析が必要だった。このため、「より直感的に人の気持ちを把握したい」という利用者の声があり、開発を進めてきた。感情の把握に必要なのは脳波計と表示するタブレットだけのため、持ち運びも簡単で、どこでも利用することができるという。
同社では、このシステムを使うことで、CMや動画を見た人がどのような感情を抱くかを検証したり、働く人の感情を把握してメンタルヘルスケアにつなげたりすることができるとしている。
DSJは、最先端科学の研究成果をビジネス化するために設立された電通の子会社。脳波などの生体信号解析をビジネスにいかすための研究やシステム開発などを行っている。