アジア諸国のモバイルOS、iOSシェア増加 訪日アプリ戦略にも影響
2019年5月7日 08:09
日本のモバイルはガラパゴスなどとも言われる。スマホの機種・OSのシェアを見ると昨年夏前までのデータで日本はiPhoneが約7割、Androidが3割である。一方、欧米豪では5割・5割、東アジアや東南アジアではAndroidが6~8割、インドでは9割と日本と真逆だ。しかし、このところアジア地域でこの傾向に変化が見られるようだ。
IT系マーケティング業のアウンコンサルティングが世界40カ国を対象に、モバイルにおける各国主要OS・機種シェアについて2月に調査を実施、その集計結果を17日に公表した。
2018年2月から19年2月までの動向を調査したこのレポートによれば、前回調査と比較してアジアのほとんどの国と地域でiOSのシェアが増加傾向だ。中でもシンガポールではシェアの伸び率は前回比34.2%の増加と大幅伸びとなっており、アジア諸国でのAndroidのシェアは全体として減少傾向で推移しているようだ。
iOSのシェアが増大しているのに合わせてアジア地域でのAppleのシェアも増加傾向に転じており、台湾ではシェア伸び率は13.1%の増加、香港では14.3%の増加とAppleのシェアが増大している。一方で、Samsungのシェアはアジア主要7カ国で減少に転じていると分析している。
シンガポールでの状況を見ると、iOSのシェアが18年7月の7.9%から42.1%と34.2ポイントと急上昇し、最大シェアを維持していたSamsungを抜いて大幅にシェアを伸ばしトップに躍り出ている。レポートでは日本やアメリカと同様にシンガポールでも9月に「iPhone XS」と「iPhone XS Max」が、10月には「iPhone XR」が発売となっており、これらの動きが9月以降にiOSが急拡大した背景と見ている。
iOSシェアの拡大傾向が見られたと行ってもアジア諸国におけるAndroidのシェアは未だ6~9割を占め優勢であることには変わりはない。機種においてはアジアにおいてもiPhoneの人気は以前から高く、iOSシェアの拡大とともに今後もシェアを伸ばしてゆくとレポートでは見ているようだ。
インバウンド戦略の視点から言えば、観光案内、移動交通・キャッシュレス決済など訪日向けアプリ開発などでOSのシェア動向は重要になる。iOSのシェアが比較的高い欧米豪からの訪日客も増加傾向だ。訪日関連アプリをiOSの利便性が高い仕様にすることで訪日客引き込み戦略を優位に展開して行くことが可能となる。(編集担当:久保田雄城)