タクシー代金1万円出したら運転手キレた! (上) 悪いのは誰?
2019年5月4日 20:39
タクシーに乗車して、「ワンメーター」の代金で1万円札出したら、運転手がキレたという話があった。「キャッシュレス支払い」にすれば解決なのだが、まだ日本では紙幣での支払いが多数だ。この問題は、「タクシー会社」として解決するのが「筋論」だろう。筋論を嫌う人が多くなったので、社会で基準を決められなくなっている。
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かなり昔の話だが、私も同様の体験をしたことがある。東京のオフィス街の慣れない場所でのこと。パーソナル・ドライコピー機もなく、地図をコピーして持ち歩くこともままならなかった時代、住所だけで目的地を探していた。朝早くて、人通りもなく尋ねることもできなかった。見当もつかなかったのでタクシーに乗った。ついて見ると「ワンメーター」の距離だった。そこで1万円札を出すと、「朝早く乗るのに小銭用意していないのかよ!」と運転手にキレられた。
「両替して来いよ!」と怒られたが、周りはビル街。当時はコンビニなどないし、24時間営業している店もない。困っていたら、「いいや!降りろ!」と言われた。かなり昔の話だ。そのころ、「雲助タクシー」と言われて乗車拒否が当然の世相であった。混雑している目的地を指示すると、「お客さん混んでるよ!」と乗車拒否をされる時代だったのだ。そこで自分ながら「用意が足りなかった」と反省し、その後は、千円札を免許証と一緒に持ち歩くようになった。
■一見さん取引
時間が経って「商売」の専門家になって考えてみると、相変わらず世間には「甘え」が基本にあることが見えてくる。不動産取引もこの間、あれこれ20回ほど経験して、100人ほどの不動産営業マンと接してきた。しかし2回以上取引をした営業マンは2人だけだ。なぜなら取引が終わると、不愉快な思いになっていることが大多数だからだ。初めのころの営業マンは、20回ほどの取引する客を逃したことになる。
「なぜ?」不動産業界では「お得意さん」を作ろうとしないのか?それは、不動産取引の大多数が「一見さん」だからだ。これが「小売店」だったら、すぐに嫌われて倒産だ。スーパーなどでは「同じお客さんが繰り返し来てくれなければ」商売が成り立たない。これが「商売」(リピーター)の本質で、「お客様のわがままを、どれほど良いもので・安く・速く叶えられるか?」と自問自答するのが「商売人」だ。トヨタが言い始めた「ジャストインタイム」の原則だ。
■ジャストインタイム
ネット時代を迎え、この原則は自動車業界全体、いや世界中の取引で「大原則」として世界を変えようとしている。製造業では、「混流生産」「スウィング生産」などでジャストインタイムを叶えるため、サプライヤーを巻き込んでモデルベース設計やモジュラー設計などの「ハイテク」を駆使した戦いが繰り広げられている。
現在、ルノー・日産・三菱アライアンスでは、フランスと日本政府の戦いが裏で繰り広げられているが、ジャストインタイムの実現を突き詰めようとする動きが根底にあると見て良いだろう。
自動車販売も、主戦場がネットの世界になってきた。不動産販売も、事前にネットで調査する客がほとんどとなってきている。その時代に、「釣銭騒動」を起こしている「タクシー業界」が情けなくなってきた。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)