どうした、アップル! 19年1月~3月期決算は、2四半期連続で減収減益
2019年5月1日 16:55
米アップルの19年1~3月期決算が4月30日に発表された。7四半期連続して売上高や純利益がともに前年同期を上回った18年7~9月期までの好調さは影をひそめ、19年1~3月期の売上高は、対前年同期比5%減少の580億1500万ドル(約6兆5000億円)、純利益も16%減少の115億6000万ドルとなり、前期に引き続き2四半期連続の減収減益決算となった。
【こちらも】GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)包囲網が進行中 (前編)
主な要因は、主力としているiPhoneの売上高が、18年1月~3月の実績が380億3200万ドルであったのに対して310億5100万ドルと、17%減少したことが響いた。対前年同期比の減少幅は、18年10月~12月期に記録した15%減少を上回り、減少に加速感すら感じられる。
売上減少要因は地域的に、より鮮明となっている。アップルの本拠地であるアメリカにおける売上高は、3%増加の255億9600万ドルと小幅ながら増加しているが、香港や台湾を含めた中華圏は22%減少の102億1800万ドルとなり、100億ドル台を辛うじて確保するという惨状である。
中国の景気減速が鮮明になりつつあるのに加えて、米中の貿易戦争が市場に浸透してきていることや、消費者の低価格志向とiPhoneの高価格化とのミスマッチ傾向が拡大。中国国内メーカーの地力アップ要因に加えて、中国政府がゲームアプリへの規制を強化している等々の多様な要因が考えられるが、いずれも早期解決が困難であり、中華圏市場の販売回復は容易でない。
商品別では、iPad(タブレット端末)が22%、アップルウォッチ(腕時計型端末)やAI(人工知能)スピーカーの販売は30%と大幅な増加を見せたが、アップルウォッチとAIスピーカーの売上は合計しても51億ドル少々であり、iPhoneの売上減少をカバーするような迫力はまだない。
また、近年伸長の目立つ音楽の配信やアプリの販売などのサービス事業も、16%の増加を見せて今後に期待をつないでいるが、現在の売上に占める割合は20%に満たない状況である。
アップルは19年4~6月期の売上高を525億~545億ドル程度と予想し、前年同期並みから若干の増加を見込んでいる。例年この時期は、新商品発表等の販売刺激要因がない安定期なので、大きな波乱なく推移するものと思われる。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)