デサント、ファン付きウェア市場に参入 「空流JAC」5月からテスト販売
2019年4月26日 16:16
スポーツアパレルのデサントは25日、猛暑対策アイテムとして充電式ファンで衣服内に風を送るベスト「空流JAC(クウルジャック)」を5月からテスト発売、ファン付きウェア市場に参入すると発表した。
【こちらも】デサントと伊藤忠の主導権争いに決着、伊藤忠の小関氏がデサント新社長に
ファン付きウェアは作業現場の熱中症対策として開発され、近年の記録破りの猛暑を背景に大ヒット。今春夏向けに国内のほぼすべての作業服メーカーが手掛けているほか、スポーツメーカーのミズノもファン付き作業服「エアリージャケット」を2017年に発売している。
空流JACは帝人、電動工具メーカーのマキタと手を組み、デサントの研究開発拠点「ディスクオオサカ」で開発。特許申請中の独自技術「スマートチューブ構造」を採用している。これは、ファンで衣服内に送風した際にシルエットの膨らみを抑えるほか、肌面と裏地との空間に風を通すことで換気効果を高めており、フロントファスナーを開いても送風効果が持続する。
人間生理学に基づくクーリングポイント(頭頂・首・背中・胸・脇)に適した通気孔を効果的に配置。さらに内側両脇にあるファスナーの開閉で、風量コントロールもできる。
電動ファン付きウェアはファンユニットとバッテリーが肝となる。この点、電動工具国内シェアNo.1のマキタには知名度と安定した生産力は強みだ。服の素材は帝人グループで機能性素材を得意とする帝人フロンティアの高密度織物素材「デルタ1000」を採用、表地からの空気の漏れを抑制し衣服内を流れる空気量を維持する効果を狙った。
19年春夏シーズンから「デサント」ブランドの商品として、スポーツの観戦者やプレーヤーに向け百貨店でテスト販売、20年春夏シーズンにさらに販売網を拡大する方針。バッテリーとファンを含めた本体価格は4万9000円(税抜)で、ミズノのエアリージャケットの2万円台と比べ強気な設定だ。
しかし今年は、「ゴールデン・スポーツイヤーズ」の初年。ラグビーワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピック大会、ワールドマスターズゲームズと大規模な国際スポーツ大会が3年連続で続く。中でもオリンピックは真夏の開催とあって会場の猛暑対策は待ったなしの課題。ファン付きウエアでは完全に後発となったデサントだが、スポーツ用に特化することで追い上げられるか、熱いデッドヒートが展開しそうだ。