平成の30年間で最も成長したのはIT産業 縮小は製造・卸 帝国データバンク調べ
2019年4月23日 09:44
平成の30年間で最も成長したのは、ITなど情報産業で、縮小したのは製造業や卸売業―。民間の信用調査機関、帝国データバンクは22日、改元を前に「平成」30年間の産業構造変遷調査の結果を公表した。これによると、30年間で最も売り上げを伸ばし、全産業総額に占める割合が増したのは、IT産業を含む「広告・調査・情報サービス業」で、逆に減ったのは、不況のあおりを受けた卸売業だった。
この調査は、企業を9業種に分類し、業種ごとに毎年の企業売上総額を算出。各業種の売上額が全産業総額に占める構成比を示したもので、1989(平成元)年から2018(平成30)年までの変遷を比較した。
30年間で構成比が拡大したのは、「建設業」「小売業」「運輸・通信業」「サービス業」の4業種。縮小したのは「製造業」「卸売業」「不動産業」「農林水産業」「鉱業」の5業種だった。
構成比が最も大きくなったのは、サービス業で平成元年には9.1%と全体の1割未満だったが、平成30年には20.4%と2割を超えた。一方で比率が最も低下したのは卸売業で元年に36.3%を占めていた構成比が30年には24.1%となり、12.2ポイント減少した。
さらに細かく業種別にみていくと、最も構成比が大きく成長したのは、サービス業の中の「広告・調査・情報サービス業」で元年の1.6%から30年の4.9%と約3倍になった。インターネットの普及でソフトウェア開発会社が増え、インターネット広告産業が発展したのが要因とみられる。
最も大きく縮小したのは、卸売業の中の、商社などを含む「各種商品卸売」。元年の10.7%から3.8%へと3分の1程度に構成比が縮小した。これは平成不況の中、多くの商社の間で合従連衡が進んだことや投資事業に軸足を移す商社が増えてきたことが要因と考えられるという。
帝国データバンクでは、「令和」時代の見通しについて、「デジタル技術の応用がすべての分野で進むとみられ、デジタル技術にけん引される産業構造の変化が起こるだろう。デジタル化が進んでいない産業では、デジタル技術によって再び大きく変遷・浮上する可能性がでてくる」などと分析している。