流れ星が月の地下水の発見に貢献 NASAの研究

2019年4月17日 19:25

 アポロ11号計画で月への着陸に成功したのが1969年。宇宙飛行士が目にしたのは乾燥した大地であり、生命に必要な水を見出せなかった。約50年経過し、月から水を探査する方法は発展していった。米航空宇宙局(NASA)は15日、月に衝突する流星によって、月表面下の地下水を突き止めたと発表した。

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■月の大気を探査する周回衛星「LADEE」

 NASAは2013年9月に、月大気・ダスト環境探査機LADEEを打ち上げた。LADEEは月の周りを公転し、月の大気の構造や成分に関する詳細な情報を集めている。

 月には、水やヒドロキシ基(OH)等が存在する証拠はある。しかし月面下の水の分布や量については議論が続いていた。

 NASAの研究グループは、月面に流星群が打ち付けたと同時に、月の大気内に水が飛び出してくるのを発見した。もともと2008年に打ち上げられた印宇宙探査機チャンドラヤーン1号が月表面にインパクターを投下し、塵とともに大量の水が噴き出してくるのを発見したアイディアを、流星群に応用したのだという。

■月面下に均等に存在する地下水

 LADEEは2014年の1月から4月にかけて計4回、月に向かう流星群を観測した。流星群の大きさや放出する水の量に基づき、8センチメートルほどの月の土壌は乾燥していることが判明した。またこの乾燥した層の下には水が均等に分布し、その量は月の重量の約0.02%から0.05%に及ぶことが明らかになった。

 今回の発見は、月の極域に点在するクレーターの深い場所に、冷たい氷が残ることを説明するのに役立つ。極域では温度が非常に低いため、流星群の衝突により発生した水蒸気や揮発性物質は数十億年もの長い間、安定して同じ場所に留まるのだという。

■いずれ消失する地下水

 月面下の地下水はいずれ消失するとみられる。LADEEが今回発見したように、流星群によって月の地下水が掘り起こされ、宇宙空間へと放出するため、月から水が着実に減っているという。その量は1年あたり200トンだと推定されている。しかし月の年齢である45億年もの間、大量に失い続けられるだけの水が月に存在したという事実は、月面での居住計画にとって吉報だとNASAは期待を寄せている。

 研究の詳細は、Nature Geoscienceにて15日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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