肝障害は環境汚染とも関連がある可能性 英国の研究
2019年4月16日 08:54
●2019年ヨーロッパ肝臓病学会の発表
環境汚染が健康に及ぼす影響について、新たな研究結果が2019年ヨーロッパ肝臓病学会(Easl)で発表された。これまでも、環境汚染がさまざまな疾病の要因となることが指摘されてきたが、肝臓の病気にも環境汚染が影響を及ぼす可能性が指摘されたのである。
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●特定の地域で多く見られる肝臓の病気
イギリスのニューカッスル大学の研究調査は、現在もまだ進行中である。これまでの研究で明らかになったのは、環境汚染が自己免疫性肝炎の発症と何らかの関連があるという事実である。
調査によると、イギリスの北東部およびカンブリアの特定の地域では、原発性硬化性胆管炎、自己免疫性肝炎、原発性硬化性胆管炎の症例が非常に多いことが判明した。この地域は、イギリス国内では環境汚染が進んでいることで知られている。
研究者たちは、こうした肝臓病の発症に環境汚染因子が関与していると主張している。
●いまだに原因が特定できない自己免疫性肝炎
自己免疫性肝炎は、比較的まれな疾病とされている。年齢に関係なく発症し、完治が難しい病気である。遺伝的素因と環境要因との相互作用が疑われているものの、原因はまだ明確ではない。
ニューカッスル大学の研究者たちは、この疾患の患者の居住区に注目した。そして環境汚染のレベルが高い非常に特定の地域において、肝炎を患う患者が多いことが明らかになったのである。
●持続的に環境汚染にさらされることの危険性
研究者チームでは、今回の調査においてたとえ低レベルであっても持続的に環境汚染にさらされ続けると、自己免疫性肝炎をはじめとする肝臓病を患う確率が高くなることは間違いないと結論づけている。
要因としては、工業用の貯水池、工業プラント、鉱山や産業廃棄物場などが考えられているが、疾病の特定要因を追求するには再度の研究調査が必要と研究者の1人ジェシカ・ダイソン女史は語っている。
また、症例が多くないといわれた自己免疫性肝炎は近年、患者数が急増しているため、今回の研究は世界中から注目を浴びている。