日産、南アフリカ・ロスリン工場に大規模投資 アフリカ市場拡大見据え
2019年4月14日 19:21
日産自動車は、ピックアップトラック「ナバラ」新型車の生産準備のため、プレトリア・ロスリンにある南アフリカ日産の車両組立工場(ロスリン工場)に30億ランドの投資を行なうことを決定した。
同工場では現在「NP200」と「NP300」を製造し、南アフリカ国内のほか、パンアフリカ地域の45カ国に向けて輸出している。今回の投資で、新型「ナバラ」の生産が加わり、日産の小型商用車製造拠点としてのロスリン工場の機能が拡大する。
ロスリン工場において新型「ナバラ」生産は2020年に開始予定。工場での直接的な雇用に加え、現地のサプライチェーン全体で約1200名の新たな雇用を創出する。また、ロスリン工場の現在の年間生産台数3万5000台に、「ナバラ」の生産が年間約3万台加わる見込みだ。
南アフリカ日産社長のマイク・ウィットフィールド氏の説明では、「ナバラ」は南アフリカに最適のモデルだという。南アフリカ政府による自動車生産開発プログラム(Automotive Production and Development Programme:APDP)の支援も受け、その生産体制は整っているとも述べた。加えて「自動車の車両は、すでに南アフリカの総輸出の約14%に上ります。『ナバラ』の生産は小型商用車(LCV)の輸出拠点としてロスリン工場の機能を拡大し、自動車産業にさらに貢献するなど、APDP次期フェースの目指すところに一致しています」とも。「ナバラ」は、2016年のインターナショナルピックアップ賞をはじめ、発売以来、世界中で数々の賞を受賞したモデルだ。2018年、「ナバラ」グローバル販売台数は23万1435台(前年比106%)で、日産ピックアップトラックとして最も売れているモデルだ。
今回の発表に際しロスリン工場で式典が行なわれ、南アフリカ共和国シリル・ラマポーザ大統領ほか、日産のアフリカ・中近東・インド担当の専務執行役員ペイマン・カーガー氏、南アフリカ日産社長のマイク・ウィットフィールド氏が出席した。
ラマポーザ大統領は「自動車産業はすでに南アフリカの製造業で最も大きな産業であり、年間GDPの約7.0%と、製造業生産高の3分の1を占めています。日産が『ナバラ』をここで生産することを大変嬉しく思っており、このような重要なモデルを確保した同社の従業員に祝辞を述べたい」と述べた。
また、日産のカーガー専務執行役員は、「アフリカは日産の中期計画『日産M.O.V.E to 2022』の実現に向け重要な市場です。日産はアフリカでは、エジプト、ナイジェリア、南アフリカで生産工場を有し、現在アルジェリアに工場の開設を計画しているなど、日産はこの地域で存在感を増しています。今日の発表は、世界でも重要なマーケットであるアフリカが継続的に成長していることを改めて示しています。また、南アフリカでは、長期的な投資が可能となる安定した市場環境が政府によって整えられています」と語った。
今回の「ナバラ」生産に向けた日産の投資により、ロスリン工場はさらに近代化が進み、フレキシブルな製造ラインや新しい設備が導入され、作業員の研修や技能向上を実施。日産は、中小企業のサプライチェーンやスキル開発を支援する現地政府機関である自動車産業開発センター(Automotive Industry Development Centre:AIDC)と協力し、新型「ナバラ」の生産準備を段階的に展開・支援。今後のアフリカ南部地域の自動車市場の成長に備える。(編集担当:吉田恒)