【株式評論家の視点】ジェイテックコーポレーションは高値圏で頑強、5月14日に第3四半期決算を発表
2019年4月12日 09:36
ジェイテックコーポレーション<3446>(東マ)は、2018年2月28日に東京証券取引所マザーズに上場。同社は、1993年12月に創業し、一貫して「オンリーワンの技術で広く社会に貢献する」という経営理念のもと、失敗を恐れず、誰よりも早く挑戦し、結果を追い求めている。
現在、大阪大学・理化学研究所の研究成果の実用化に成功した放射光用X線集光ミラーを中心としたオプティカル事業、また創業当初から培ってきた独自の細胞培養技術をもとに商品展開している各種自動細胞培養装置を中心としたライフサイエンス・機器開発事業、この2つの事業を軸に経営資源を集中し、事業規模の拡大を推し進めている。
オプティカル事業では、X線などの光を使った世界最先端の分析研究を行っている。「SPring-8(兵庫県)」のような世界中にある大型放射光施設において使用される、放射光X線を回折限界まで集光することが可能な極限の精度が求められる高精度楕円集光ミラーを代表とする各種高精度X線ミラーの設計・製作・販売をしている。2015年6月19日のシード・プランニング「放射光用X線ミラー市場に関する調査」によれば、2025年まで市場は年率7%成長と予測。OsakaMirrorの得意分野となる高精度ミラーは年率9.5%成長を予想しているが、調査以降、中国・ブラジル・スウェーデンでも第4世代及びXFEL施設の建設計画しており、事業環境は成長する見通し。
ライフサイエンス・機器開発事業では、ライフサイエンス事業において、創業当初から20年以上に渡り培ってきた独自の細胞培養技術をもとに各種自動細胞培養装置を中心とし、商品展開している。自動細胞培養装置においては、今後急速な需要の拡大が期待される再生医療分野では臨床研究向け3次元細胞培養システムなどを開発し、創薬分野ではスクリーニング自動化システムの開発などを推進、さらにiPS細胞の関連事業においても積極的に技術開発、製品開発を推し進めている。機器開発事業において、医薬・バイオ分野だけでなく半導体・化学・印刷・色認識・画像処理・ソフトウェアなどの幅広い分野において、これまで培った技術力や開発力を武器に自動化装置やシステムの提供を行い、ユーザーから高い評価を得ている。2013年2月のシード・プランニングのグ「経済産業省:平成24年度中小企業支援調査(再生医療の周辺産業に関する調査)報告書」によれば、再生医療周辺産業における同社関連品目の世界市場規模は2050年に約1兆円と試算されており、事業環境は成長する見通し。
今2019年6月期第2四半期業績実績は、売上高2億9900万円(前年同期比30.4%減)、営業損益9400万円の赤字(同1億0300万円の黒字)、経常損益520万円の赤字(同1億0500万円の黒字)、最終損益300万円の赤字(同6300万円の黒字)に着地。当初予定よりもオプティカル事業における製造・出荷が遅れたことが響き営業損益は3400万円下振れしたが、第3四半期及び第4四半期で解消する見込み。
今19年6月期業績予想は、売上高14億0800万円(前期比39.5%増)、営業利益4億0400万円(同65.9%増)、経常利益4億4100万円(同58.0%増)、純利益2億9400万円(同68.5%増)を見込んでいる。年間配当は、無配を予定している。
株価は、昨年3月9日につけた上場来高値13490円から同12月25日につけた上場来安値2900円まで調整を挟んで4月1日に年初来高値4790円と買われた後、高値圏で頑強な動きとなっている。今19年6月期第2四半期業績は下振れしたが、オプティカル事業では、放射光施設や自由電子レーザー施設の新設が進むアメリカや中国向けの割合が大きくなる見込み。ライフサイエンス・機器開発事業では、機器開発における、上期の国内大手企業からの同社の表面ナノ加工技術を用いた製造装置の受託開発について、今後は量産装置製造に向けた開発を推進。CELLFLOATRシステムを用いた汎用型機器(CellPet 3D-iPS、CellPet FT)から、ライフサイエンス関連機器や独自のナノ加工技術を利用した機器開発事業を中心に予算を設定しており、通期業績予想は達成できる見通し。5月14日に第3四半期決算の発表が予定されているが、計画通り順調に推移していれば、リバウンド幅を広げると期待される。サポートラインの25日移動平均線まで押す場面があれば、絶好の買い場提供となりそうだ。(株式評論家・信濃川)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)