神戸大、東北太平洋岸で新種の海藻「サンリクモズク」を発見
2019年4月12日 12:19
神戸大学の研究グループが、東北地方太平洋岸で採取した褐藻を新種と同定、「サンリクモズク (Tinocladia sanrikuensis)」の和名でこれを発表した。研究にあたったのは、神戸大学内海域環境教育研究センターの川井 浩史教授、羽生田 岳昭助教と、理学研究科生物学専攻の竹内 和沙さん。
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サンリクモズクは食用種のフトモズクと酷似しており、これまでにも発見はされていたのだとは考えられるが、新種であることには気づかれていなかった。しかし十数年前に、宮城県南三陸町で採取されたフトモズクとされるサンプルを遺伝子解析にかけた結果、新種であることが明らかになったという。
モズクというのはナガマツモ目のモズク科およびナガマツモ科に属する階層の総称である。単にモズクと言った場合はモズク科のイトモズクとも呼ばれる種を指すことになるが、実際にはナガマツモ科のオキナワモズクやイシモズクの方が、日本では食用種として馴染みが深い。主な産地は沖縄であるが、熱帯から温帯にかけ広く分布する。日本固有種というわけではなく、トンガなどでも食用にされることが知られている。
さて、フトモズクのサンプルが新種であることが明らかになったあと、2016年に神戸大学の研究チームは再び同種の採種を試みた。2017年6月までかかってようやくサンプルを入手、形態学的観察とDNA解析を行った結果、フトモズクとは別の新種であると断定することになったという。
サンリクモズクの分布、生態についてはまだ謎が多く、他の地域から見つかる可能性もあるが、現時点では三陸沿岸の一部地域でしかその存在は確認されていない。フトモズクに似ているのだがより細く、また同化糸が長いという特徴を持っている。
研究の詳細は、4月1日に日本藻類学会英文誌「Phycological Research」にオンライン掲載された。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)