フィリピンで新種の原人が発見される
2019年4月12日 08:38
フィリピンのルソン島で、ヒト属の新種が発見された。フランス国立自然史博物館やフィリピン大学などの国際研究チームの発掘によるもので、新種の原人は「Homo luzonensis(ホモ・ルゾネンシス)」、すなわち「ルソン原人」と命名された。
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化石は約6万7,000年~5万年前のものと推定され、北京原人・ジャワ原人・フロレス原人・澎湖人に続き、アジアでは5例目の原人の発見となる。
発見された場所はカラオ洞窟と言い、フィリピン最大の島であるルソン島の北東部、カガヤン州にある。石灰岩の山に七つの空洞を持つ洞窟があり、洞窟自体はもとから知られていた場所であり、一部は教会として改装されたり、また古代民族の信仰対象となっていたりもする場所である。
2007年から考古学的プロジェクトが行われており、ルソン原人の骨も2007年から見つかっていたが、今回新たに標本が加わったことで新種登録が可能になったものである。
現時点で見つかっているのは、3個体分と見られる足と手、大腿骨の一部、歯などの12点の標本。
残存する化石の量から確定的なことが言えるわけではないようだが、インドネシアのフロレス原人同様、ルソン原人は新人に比べて小型であった可能性がある。またルソン島は、ユーラシア大陸からかなり海を隔てているため、ルソン原人はフロレス原人と同様に、より古いヒト属の原種が離島に隔離され、独自の進化を辿った残存個体群だったのではないかと見ることができる。
2004年にフロレス人が発見されたとき「他の島でも類似の現象が起こっていた可能性がある」という指摘は行われており、今回発見されたルソン原人がそれにあたると見る向きもあるようだ。
なお研究の詳細は、4月10日付ネイチャー電子版に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)