横浜市に見る高齢化社会に対する「官民タッグ」の現状
2019年4月9日 17:41
進捗する高齢化社会への対応には「自治体と福祉関連業者の連携が不可欠」と指摘される。逆に言えばそうした認識に「前向き」な姿勢を示す街に暮らすことは、高齢者にとり「幸い」であろう。
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都道府県並みの権限を与えられた「政令指定都市」は、2018年時点で20市ある。そうした中で地域の福祉・介護体制づくりに前向きな市として、神奈川県横浜市が注目されている。
データはいささか古いが、総務省の統計によると16年10月26日時点の横浜市の人口は372万4844人。政令指定都市にあっても群を抜いたトップ。横浜市が「前向き」になる理由には、同市も「25年には、市民の4人に1人が65歳以上になる」という背景がある。
ゆえにこの間も詳細は省くがあの手この手の施策を講じてきた。今年3月20日には「AI、IoT、セキュリティなどの先端技術で介護事業と市民サービスの向上を目指す」という目的から、「介護分野におけるオープンイノベーションによる課題解決に関する研究協定」なるものが結ばれた。横浜市とエリアに拠点を構える実績派介護事業者(ツクイ、ウェルモ、ジェイアーク)、そして介護ロボット「PALRO(パルロ)」で知られる富士ソフトの間で結ばれた協定である。
主な研究テーマとして「新しいケアモデルの確立」「介護事業における業務効率の改善や高度化」「介護サービスの質の向上」が掲げられ、具体的には「官民が保有する情報の収集・分析・発信の在り方」「公民連携によるAI・ICT(情報通信技術)などの先端技術活用の在り方」をテーマに研究が進められる。
こうした報道に接し「AI」の2文字、これまでの横浜市とのタッグ実績から富士ソフトのパルロの現状を知りたくなった。パルロは介護用AIロボットとし介護現場で「(入居者との)会話」「レクレーション」を介し、介護スタッフの負担軽減や合理的業務展開に貢献してきた。IR担当者に「パルロの近況を」と尋ねた。こんな答えが返ってきた。
「全国の高齢者福祉施設への導入が1200施設を突破した」
「一般家庭向けモデル、パルロ ギフトパッケージの販売を開始した。離れて暮らす親御・家族がパルロと過ごす様子が専用アプリでスマホやタブレットで知ることができる。見守りモデル」
自治体とタッグを組むことで、介護(関連)業者の機能向上が進められる。超高齢化社会に自治体の果たす役割を、あらためて痛感した。(記事:千葉明・記事一覧を見る)