NEDOや日産ら、米カリフォルニアのEV実証事業にチャデモ式超高速充電器導入
2019年4月7日 18:16
国立研究開発法人・新エネルギー・産業技術総合開発機構「NEDO」と日産自動車、兼松の3者は、米国カリフォルニア州で2015年から実施してきた電気自動車(EV)の利用範囲拡大を目指す実証事業において、「CHAdeMO(チャデモ)」規格による出力100kWのEV用超高速充電器を導入し、運用を開始した。従来の2倍の出力で充電できるようにすることで、EVの充電時間の短縮を図る。
世界的にクルマのEV化が進むなか、米国、なかでもカリフォルニア州は早くからEVに注目し、さまざまな取り組みを実施している。同州では、2030年までに500万台のZEV(Zero Emission Vehicle)普及を目標に掲げ、州内で一定台数以上の自動車を販売するメーカーに対して、一定比率のEVやプラグインハイブリッド車などの販売を義務付ける(ZEV規制)ほか、EV購入者は優先レーンの通行許可が得られるといった優遇措置を充実させており、現在米国においてEVの販売台数が最も多い。ただ、EVは充電インフラが比較的整備されている都市部での近距離移動など限定的な利用も現状だ。
前述3者は、かねてより米国カリフォルニア州で、急速充電網の整備とリアルタイム情報サービスの提供を通じてEVの利用頻度向上と行動範囲拡大を目指す実証事業に2015年から取り組んできた。2017年11月には、海沿いのモントレーから山間部のレイクタホまでの約530キロメートルの区間内の25カ所に出力50kWのEV用急速充電器55基を設置し、実証事業を本格始動した。
そして今回、今後のEV車載電池の大容量化を踏まえ、日本の充電規格「CHAdeMO(チャデモ)」に対応した超高速充電器を設置。これにより、EVの充電時間のさらなる短縮を図る。今回導入した超高速充電器の出力は、既設充電器の2倍となる100kWとし、市場の状況に応じて今後の出力アップも視野に入れる。大容量で超高速充電が可能な電池を搭載するEVと、超高速充電非対応の中・小容量電池を搭載するEVの運転・充電行動を比較することで、電池容量の違いを考慮したEVの運転・充電行動の多面的な分析が可能となるという。
あわせて、EVドライバー向けスマートフォンアプリ「DRIVE the ARC」に、充電ステーションでの充電予約機能を追加した。同アプリを通じて特定の充電器での事前予約が可能となり、充電ステーションの混雑緩和による快適な利用につながることが期待される。
今回のハード、ソフト両面の強化を通じて、従来から取り組んできた急速充電器の設置などによるEV行動範囲拡大の実証やさまざまなEV行動データの収集・分析の精度向上を目指す。加えて、電池容量が異なるEVの運転・充電行動の多面的分析のほか、充電器の予約から利用までのドライバーの行動分析にも着手し、EVの利用距離延伸の可能性評価に取り組み、EVの利便性向上につなげるとしている。(編集担当:吉田恒)